かつて麺類自動販売機が置かれていた当別町の「アウルショップ275」さん。
北海道でも最後まで稼働していた場所の一つでした。
しかし、2014年にオーナー様がお亡くなりになってしまい、閉店。
そこから前後してに帯広でも稼働していた「ドライバーハウス風車 」さんも同年6月閉店。
麺類自動販売機の灯は北海道から消えてしまいました。
当初こそ店には今までなかった形での販売ができれば良いと思っておりましたが、
調べていくにつれ、単なる商売としてだけではなく、
北海道で稼働していない麺類自販機を復活させたい。そんな思いを強く思うようになりました。
稼働している場所が全て無くなってから3年が経過していた2017年10月、私は当別町を訪れました。
最後まで稼働していた場所の一つのここであれば残っているかもしれない。
一縷の望みをかけてかつてのショップ跡に来てみると
店内にはそのまますぐに動かせそうなほどに奇麗な状態で麺類自販機が残っていたのです。
発見当時の状態。閉店時のまま置かれており非常に奇麗でしたそして、直接オーナー様の奥様とお会いし、引き取らせていただけないかとお願いしたところ、
快諾をいただき、日取りを決めて引き取りさせていただきました。
奥様が快諾してくださった時には思わず涙してしまったほどでした。それほどに嬉しかった瞬間でした。
引き取り時の自動販売機。搬出/搬入共に苦労しましたが、無事に運び込むことができました。
搬入後の麺類自販機。元々稼働していた1台と、オーナー様が部品取り用に持っていた予備機の2台。予備機については後述させていただきます。
・修理の難航
保管場所に搬入後、動作確認を行いました。
かつては稼動していたものとはいえ、長く動かしていなかったこともあり、
引き取った当初は電源を入れてもタンクから水すら出てこない状況でした。
そこで、製造元である富士電機さんのHPから回路図などが載っているファイルを見ながら原因を探っていきましたが、
素人では明確な原因の切り分けすらできず、それでも目に見える場所からと思い仕事や休日の合間を縫って保管場所へ通う日々が始まりました。
内部の洗浄、配線部分が焦げていたブレーカーの交換、焦げていた配線の交換。
それでもまともにお湯すら出てこなかったところからはタンクから電磁弁の開放によるお湯の供給動作はするようになったものの、タンク内の水が温まらないまま。
どこが悪いのかが判断できず、かといって予備機があるとはいえここから全てをバラしていく勇気は、当時の自分には無く、修理は暗礁に乗り上げてしまいました。
既に引き取ってからおそよ1年半もの歳月が経っていました。
引き取った直後の濃縮だしを一定量出すための電磁弁。ホースの黒い部分は固まった濃縮だし。
濃縮だしを入れたボトルを固定する部分。残った濃縮だしがこびりついている。
錆や濃縮だしなどで汚れた調理部分。とにかく見えるところから奇麗にしていく他なかった。
・不意に差し伸べられた救いの手
原因もわからずに頭を抱えていた2019年の3月、不意に一本の電話が鳴りました。
電話の主は神奈川県相模原市にある「中古タイヤ市場 相模原店」の斎藤社長でした。
少し時を遡って2017年9月。
私は麺類自販機を探すにあたり、2016年に設置されたばかりの中古タイヤ市場の自販機コーナーに目を付けました。
探そうと思ってもそう簡単に出てくると思えない御三家が揃い踏みのラインナップ、それらを自身で修復して稼働させているという点から、学べることが沢山あるので