人間が任意に選び取った精子を利用するので必ず質のいい精子が使われているとは限りません。
最近では精子の質が悪いと胚盤胞まで育ちにくいという研究報告などもあります。
精子は数だけでなく運動率や正常形態率、DNA断片化度合いなど精子の質も重要なのです。
■女性に大きな負担がかかるのが不妊治療
不妊治療は女性に負担がかかる治療です。
男性は精子を提供するだけですが、女性は準備を含めると3〜5ヶ月かけて治療をおこないます。
ーー以下、男性は特によく読んで欲しい。ーー
不妊治療において女性は何種類もの事前検査を受け、病院に10~20回は通院します。人気のクリニックだと1~2時間待ちも普通なので一回の通院で半日は潰れます。そして毎日薬を飲み(怠さ、眠気、便秘、頭痛)、排卵を促す注射を自分でお腹に打ち(痛い)、採卵前は不定期で通院し(予定を入れられない)、膣の中から針を入れて採卵し(激痛)、受精した受精卵を子宮に戻します(30万円~80万円/回)。その後10日前後で妊娠判定となりますが、妊娠していなければ【フリダシに戻る】です。
胚移植と呼ばれるこの一連の不妊治療は、30歳の女性で妊娠率は44.5%です。(出産率ではなく妊娠率)
不妊治療をしたからといって確実に妊娠できるわけではありません。治療に集中するためにしぶしぶ仕事を辞める女性が多いことが男性にも容易に想像できるのではないでしょうか。
ーーー↑↑↑女性はすごく大変↑↑↑ーーー
もう一度繰り返しますが、
不妊治療は女性にとってめちゃめちゃ大変です。
一方、男性は精子を出すだけです。
しかも男性側に不妊原因があったとしても女性はこの一連の不妊治療ステップをおこなう必要があるのです。
女性の苦労に報いるために男性ができることは、
精子の質を良くして妊娠率を上げることです。
残念ながら、それしかないのです。
■不妊は医師も分からないことだらけ
僕がはじめて男性不妊だと医師に診断されたとき、映画の1シーンのように頭が真っ白になりました。
男性には精子の定期検診なんてありません。
十分に精力もあり、普段から運動していて健康体。
活力をもって日々生活していたので自分が男性不妊なんて一度も疑ったことはありません。
そして医師にこう言われました。
「あなたの精子だと自然妊娠は無理です。」
「精子が極端に少ないです。」
「原因は不明です。」
「子供を持つには顕微授精しかありません。」
「この状態で回復した人を見たことないです。」
原因不明。。。しかも改善の見込みがないことに愕然としました。
最初はショックで塞ぎ込んでいましたが、さすがに医師の言葉を100%鵜呑みにするのもどうかと思い、自分で情報を得ていくと様々なことが分かりました。
– 不妊治療は治療ガイドラインが不十分
– 自由診療なので非常に高額なお金が必要
– 男性不妊はまだまだ研究が進んでいない
– 精子は熱に弱い
その他いろいろありますが、生殖医療は医師でもわからないことが多いのだと知りました。
■よくある男性不妊の疾患
男性不妊の疾患の中でもっとも有名なのが「精索静脈瘤」です。全体の約3割を占めます。
精索静脈瘤は精巣付近に静脈瘤ができることで血流が逆流して精巣の温度が上がり精子がダメージを受ける症状です。
そして男性不妊でもっとも多いのが「原因不明」です。全体の約4割を占めます。
男性不妊の疾患別内訳
原因不明とは、日常的にストレスが多いからかもしれないし、タバコがダメなのかもしれない。不規則な生活習慣が悪