はじめまして。ニットウェアブランドマイテ(MAITE)の吉田彩子と申します。2013年から南米発の素材「アルパカ」に恋をして、その魅力が最大限発揮されるような衣服や小物を、ペルーと日本でつくってお届けしています。
今回は、新型コロナの影響をもろに受け、仕事の機会が激減しているペルーのニット工場たち、ひいては素材であるアルパカを育てるアンデス山脈の高地で暮らす先住民の人たちのために何かできないかという想いから、
ペルーでアルパカテキスタイルの推進普及活動をする「ALPACA DEL PERU」というイニシアチブと一緒に、日本のみなさんに向けて、新たにバーチャルセレクトショップ「PAKA」を起ち上げることになりました。
「PAKA」は、ペルーの先住民言語のケチュア語で「宝物」という意味です。
アルパカ素材の心地よいファッションを、より多くの方に知っていただき、お届けしたいと思っております。同時に受注生産という生産方法をとることで、余計なコストを上乗せすることなく、ベストなプライスで着てくださる方にお届けしながら、過剰生産や廃棄を生まないサステナブルなファッションの循環を実現したいと考えています。
アルパカという素材はカシミアやメリノウールと並ぶ上質な素材です。
肌触りがしっとりやわらかく、特に保温性に優れています。
欧米では長年ファンも多い素材ですが、そもそも世界での流通量がウール110万トン、カシミア6500万トンに対して、アルパカは4000トンと少なかったり、日本では他の素材と混ぜたものが多く使われることが多いためか、あまり知られていません。
日本のふれあい牧場などでアルパカに触れたことがある方もいらっしゃると思いますが、毛の外側は汚れやすいのでゴワゴワしたように見えますが、実は毛の中にグッと手を入れてみると、細くきれいなやわらかい毛がつまっています。
富士山よりも高い、アンデス山脈の標高「3500m~5000m」という高地に暮らすアルパカの毛は、過酷な環境から身を守るため、寒暖差や気候の変化に耐えうる機能性を兼ね備えています。
まずなんといっても温かい!下のイラストは空間の温度を変化させた時の、熱移動にかかった時間を計測したデータです。
アルパカは最も温度を保っていた時間が長く、つまりは体の温かい体温を逃がしにくいといえます。
そして、なめらかでしっとりした肌触り。ニットはチクチクするから苦手という方でも、お使いいただけます。
繊維の表面にあるスケールとよばれる、髪の毛のキューティクルのようなものが、とても少ないためです。
中でも「ロイヤルアルパカ」と呼ばれる糸は、とても細くてやわらかい、アルパカの中で最上級の糸です。
よりやわらかい順に、
「ロイヤルアルパカ」
「ベビーアルパカ」
「スーパーファインアルパカ」
と糸のランクが分けられています。
そして、湿度が低い乾燥した環境下はもちろん、湿度が高い環境でもコットン以上に繊維の中に水分を保つことができます。
つまり暑くなって汗をかくような状況でも、蒸れたり、ベタついたり、湿ったりしにくいのです。
吸湿だけでなく、発散性もあるので、濡れても乾きやすいです。
そしてさらに、機能面で優れているだけでなく、環境への負荷が低いという特長があります。
自然の色が多く、毛の油分が少ないため、紡績や染色の工程に必要な水、エネルギー、化学物質などが少なくて済みます。
下は、ピリングテスト(こすり続けた時にどの程度毛玉ができるか)をした生地の表面の写真です。