はじめに
道路が通るために切り倒されそうになったイチョウの大木が、根がついたままに彫り上げる「立木観音(たちきかんのん)」という全国でも大変珍しい仏像に生まれ変わろうとしています。
東日本大震災犠牲者の慰霊と地域のこどもたちを見守るであろう、この観音さまを完成させるために、今、多くの皆様のご協力を必要としています。どうかご厚意をお寄せくださいますよう、よろしくお願いいたします。
流山市と東日本大震災
「水と緑と歴史の町」と呼ばれる流山市は千葉県の北西部に位置し、明治の初めには県庁が置かれるなど、大変栄えた地域です。都心まで電車で30分ほどですが、豊かな自然がまだまだ残っており、市の鳥にもなっているオオタカが生息していることで知られます。
主な名物は、流山市が発祥の地である白みりん、いわゆる「本みりん」です。みりん風調味料しか知らない方には、ぜひ味わっていただきたい逸品であります。
その中心部にある円東寺は、江戸時代初めに建てられた歴史ある寺ですが、ここ100年もの間、空き寺でした。しかし現住職がやってきてから、様々なイベントを行い、地域交流をはかってまいりました。平成22年から地元の畠山誠之氏(岩手県出身、元中学校校長)を招いて開かれた仏像彫刻教室もその一つです。
その最中、平成23年3月11日、東日本大震災が起きました。多くの方々が犠牲となり、今でも行方不明者が多数おられることは皆様ご存知の通りです。流山市にも姉妹都市である福島県相馬市などから被災者の方々が避難してまいりました。
震災被災地ご出身の畠山講師は故郷のために何かできないかと毎日考えたそうです。
震災で倒壊した円東寺境内の石灯篭 2011.3.11
立木観音像造立プロジェクト
日本全体が悲しみに沈む中、震災でいのちを落とした多くの方のために、大きな仏像を彫ろうと畠山仏師と教室受講生が立ち上がりました。ちょうど同じころ、本来なら伐採されるはずであった円東寺の大イチョウが、道路計画縮小のため、根と幹の部分を残せることが分かりました。 それならば、根がついたままの「立木仏」を彫れるのではないかと夢が大きく膨らみました。
イチョウに対し、これまでの感謝を述べる 2013.11.16
立木仏とは、日本古来の「霊木信仰」を元とし、根がついたままの自然の立ち木に、そのまま仏像を彫り出すもので、仏教と神道の合わさった全国でも非常に珍しい形の仏像です。その後、話し合いを重ね、慈悲の仏である観音様、なかでも3月11日を忘れぬために十一のお顔を持つ十一面観音様がふさわしいだろうと思いがまとまりました。
いよいよ観音さまを彫り始めることに 2013.12.3
また、足元をくぐる「胎内巡り(たいないめぐり)」トンネルを掘り、特別な日にそこを通り抜ける行事を継続的に行いたいと考えています。巨大立木仏であり、なおかつ、胎内巡りができる、全国にまたとない仏像が今まさに出来あがろうとしています。
これまでとはすっかり変わった周辺の様子と観音さま 2014.11.28
流山市と子育て
流山市は「母になるなら流山市 父になるなら流山市」のキャッチコピーが象徴するように、子育て支援に大変力を入れております。子育て世代から人気のある街としての評価も高く、3,40代を中心に人口が年々増えている全国でも注目の市です。
いみじくも円東寺立木観音様の目の前は、流山市立おおたかの森小学校、中学校の通学路であり、すぐ隣は私立保育園です。新しくできる観音様には、地域を天災から守