ミュニティー内の助け合いで何とか生活を成り立たせていましたが、コロナ禍で仕事が激減。「家賃が払えない」「病院に行けない」などの声が続出しています。
日本ではじめての実態調査 「家賃が払えない」「病院に行けない」という声
POSSEではこのような実態を明らかにするために、他団体と協力し、昨年(2020年)11月にJR川口駅前で大規模な労働・医療・生活相談会を行い、約300人のクルド人家族に対し相談や食料配布を実施しました。
2020年11月 クルド人の生存権を守る実行委員会主催 相談会の様子相談会から見えてきたのは、多くの人が生存ギリギリのラインで命を繋いでいる、過酷な実態でした。
両親と小学生の子供2人で暮らす家族は「コロナで仕事がなくなった。食事が十分に取れていない」と話していました。子供の給食費も払えておらず、家賃は1ヶ月滞納しているといいます。
また、小学生の子供を抱える母親は「仮放免になり保険証が取り上げられてから、娘のぜんそく治療のための病院代が払えなくなった。保険がないと、一回の診察だけで1万円以上かかる。今は弟に借金をして通っているが、いつまで治療を続けられるかわからない」と訴えました。
ここまで深刻な貧困が広がっていること、そして国も自治体もこの現状を無視し続けてきたことに、私たちは衝撃を受けました。以来POSSEでは、仮放免者の権利が奪われているこの現状を変えるため、埼玉県を拠点にさまざまな活動に取り組んでいます。
クルドの若者たちへの学習支援
クルド人コミュニティーの中には、日本で生まれ、トルコには行ったことすらない子どももいます。しかし日本では外国籍の子どもへの教育権は認められておらず、彼ら・彼女らの多くは金銭的事情から中学や高校への進学を諦めざるを得ない状況にあります。また仮放免者の受け入れを許可している大学はほとんどないため、ほとんどの人が高校で進路を断たれてしまいます。
在留資格や経済状況によって、中学や高校に行くことを諦めたり、将来の夢を諦めざるをえない仮放免の若者が後をたちません。「難民だから」「仮放免者だから」というただ一点の理由だけで、将来なりたい職業を描くことも許されず、教育も十分に受けられず、常に収容の恐怖に晒されながら生きていかなければなりません。
私たちは、この状況を変えるため、川口市内の貸し会議室などで「クルド若者カフェ」という学習支援を行っています。クルド若者カフェでは、毎週様々な年代の子どもたちが訪れ、宿題をしたり、高校受験のための勉強や進路相談をしています。
就学支援の様子
クルド人家庭への食糧支援
また、現在月に一度のペースでパントリーを実施し、困窮しているクルド人家族に対し食料や生活用品の配布を行っています。
当事者にニーズを聞き、小麦粉やお米、調味料や紅茶など、クルドの人たちの生活にあった食糧を準備しています。
また、小さい子供がいる家庭から「粉ミルクが高くてなかなか買えない」「おむつの費用が嵩むので大変」といった声が寄せられてたことを受け、子供用の粉ミルクやおむつも用意しています。
無権利状態に置かれ、様々な行政サービスから排除されているクルドの人たちは、生活する上で様々な困難を抱えています。この食糧支援の場は単に食糧を配布するだけでなく、クルドの人たちと直接顔を合わせて生活上のニーズを聞いたり、最近の困っていることを聞くことができる大切な機会になっています。
パントリーに訪れた人から「勤め先で怪我をしたら、そのまま解雇された」という相談を受け、一緒に勤