日本初の世界農業遺産の地・奥能登から「食」の未来を拓く郷土料理本を届けます

日本初の世界農業遺産の地・奥能登から「食」の未来を拓く郷土料理本を届けます
私たちが企画するのは、奥能登の食文化を掘り起こす料理本の制作です。「日本の食」は今さまざまな問題を抱えています。それらの問題を解決する糸口が地方の「郷土料理」にあると私たちは考えています。日本初の世界農業遺産に認定された、奥能登珠洲から日本の食を救う挑戦が幕を開けます。

て特別なものではなく日常にある里山里海の恵みが凝縮した家庭料理なのです。

能登は半島という地勢ゆえに、季節を追う生活文化の循環や、地域に受けがれる伝統的な家庭料理、郷土料理がそのまま受け継がれ、貴重な食文化がのこされています。先進国初の世界農業遺産に「能登の里山里海」が認定された理由の一つとして、豊かな生物多様性や美しい景観と共に伝統の文化的資源が現代にも残されている点だと思います。

自然と共に歩んできた、能登の人々の生活と暮らしを支えてきた郷土料理には、「食」の未来を担っていく可能性があると思っています。

そして、これからは能登のみならず日本各地の風土から生まれ、日常の生活に根差した食材と料理を大切にしていきたい。そんな思いを込めて、まずはじめに「世界農業遺産の地・奥能登珠洲の料理本 」を発刊し、能登から食の未来を拓いていけることを願っています。

能登は遠い。日ごろ金沢を活動の場としている私にとっても、同じ県内でありながら、能登は遠隔の地です。だからこそ、守られてきた魅力があるのです。

「能登はやさしや土までも」という言葉があります。

諸説ありますが、能登の人々は純粋でやさしく、土までもが柔らかいという意味で使われます。実際、能登に入れば、そのことが人情味として伝わります。

でも、その柔らかさの芯に、強さが感じ取れるのです。厳しい自然環境を受け入れながら生き抜いてきた、辺境の地という境遇に耐えながら、豊かな日常を築いてきた、その強さを感じるのです。

そして、さいはての地だからこそ毒されなかった暮らしがあります。

今や、日本の多くの地域で失った人間らしい生活様式を保持する貴重な地域なのです。とりわけ、食の世界において、海山の幸をいただく自然の摂理に対する感謝と畏れ、手仕事として受け継がれる家庭料理、地域の食材を基にした郷土料理と、都会では当たり前のファストフードなどとの対局にある食が、この地にはあります。この食の形態を、私たちは「民食」と呼びます。

「よばれん華」では、数多くの能登の民食を紹介できました。日本人が、本来大切にすべき食のあり方が盛り込まれています。一人でも多くの方が手に取って、「よばれん華」を教本に、食の未来を語り合いたいものです。

最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。

今からちょうど10年前、2011年に「能登の里山里海」が国連食糧農業機関(FAO)から日本初となる世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。

10周年の記念すべき年に本書を刊行できることを、嬉しく思っています。とても大きなきな意義があります。能登の里山里海の保全は、世界農業遺産としての評価を得て、この10年間、さまざまな考察と活動が進められてきました。そして今、その知恵と成果を集約する格好で、能登の食文化と郷土料理を一冊の本にまとめることができたのです。

そこには、世界農業遺産の地だからこそ、全国に発信できる「食の未来」が詰め込まれています。

のとFood Studiesは、この本を通じて、能登には食のあるべき姿を考える素材と実践例があふれていることを、全国の人に知って欲しいと願っています。世界農業遺産の地が、日本の「食」を変える運動の新たな起点になればと考えているのです。どうぞ、この地に来ていただきたい。日本の伝統的食文化を体感していただきたい。本の出版はゴールではないのです。これから始まる食の変革の取組みを共に考えていきましょうとの想いを込めて、まずは出版へのお力添えをお願いしたいと思います。

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