から守る
年々進行する高齢化と深刻さを増す獣害・・・四方を山で囲まれ、冬には豪雪に見舞われる・・・そんな過酷な条件で、なんとか農地を維持してきた地域の方々ですが、ここ数年は残念ながら耕作放棄地が多くなってきている状況です。
それでも、地域の方が「ここが春来の生命線」と呼ぶ、なんとしても未来にむけて守っていきたい、春来の中でも比較的条件の良い農地がいくつかあります。
「春来の生命線」となる農地 青空と周囲の山々を見渡す景観が最高の天空農園ですこれらの農地は、獣害があまりにも酷いので、一時休耕されていた農地です。しかしながら、このまま何もせずにいたら、農地は再利用が難しくなるほど荒れ果ててしまいます。
そこで今回のプロジェクトでは、「春来の生命線」となる農地をもう一度活用して、春来のそば生産組合が「てっぺん」で提供する春来産のそば栽培に挑戦します。
しかしながら、そば栽培を復活させたとしても、必ず想定されるのが「獣害」です。実際に、これまでの春来の獣害対策はうまく防ぐことができないことが多くありました。
そこで、プロジェクトでは、獣害対策の専門家である「さともん」が技術支援を行い、シカやイノシシからそばを守るためことにチャレンジします!
② 豪雪地でも実施しやすい防除方法を実証し、地域内外に広める
春来集落で、シカ・イノシシによる獣害対策として実施されてきたのは「捕獲」と「防護柵」です。地域の方の熱心な努力により年間約80頭の有害捕獲を行っていますが、それでも被害は止まりません。そこで「防護柵」で農地を確実に守ることが必要です。
これまでも春来集落は「防獣ネット」「電気柵」「金網柵」 等の数々の防護柵が設置されてきたのですが、残念ながらあまり効果が得られていません。その主な理由の一つに、冬季の積雪があげられます。
積雪により損傷を受けた金網の防護柵
兵庫県でも有数の豪雪地である春来では、常設の防護柵は積雪の影響でかなりのダメージを受けてしまいうのです。高齢化する地域では、損傷を受けた防護柵を毎年点検して補修していくことが難しくなってきています。
そのため、冬期の積雪にも対応できる防除方法を確立する必要があります。もっとも管理しやすく効果が期待できるのが「電気柵」です。
実は、春来でもこれまで電気柵を設置している方は多いのですが、あまり効果が感じられていない状況です。この理由として、電気柵の効果を維持するための「適切な設置・管理」ができていなかった可能性があります。これは春来だけの問題ではありません。獣害対策については専門家が少なく、まだまだ各集落に十分に知識や情報が行き渡っていない現状があります。さらに春来では、積雪が多い地域ならではの理由が関連していると思われます。
そこで、本プロジェクトでは、積雪に対応して維持管理がしやすく、美しい景観に対する影響も比較的少ない「電気柵」を「適切な設置・管理」 方法で実施し、その効果について実証します。また、積雪地ならではの維持管理の注意点を整理し、その対応方法を提案します。
今回、獣害がひどくて休耕田となっていた2つの農地で実証試験を行いますが、ここで良い結果が得られれば、集落内の他の農地にも普及させることができ、失われつつある「収穫と喜びの笑顔」を春来区に取り戻すことにつながります。また、積雪地でも実施しやすい防除方法を確立することは、同様の条件で苦しむ他の地域の獣害対策にも有用な情報となり、他地域へと支援の輪が広がっていきます。
上記で実践する獣害対策はあくまで「手段」です。春