らに大きな問題が地域を悩ましています。それは、シカ・イノシシによる獣害です。
シカ・イノシシ・サルなどに代表されるように野生動物が農作物等に被害を与える「獣害問題」が全国の農山村で大きな課題となっています。その被害金額は全国で年間約158億円(令和元年度、農林水産省調べ)。
春来区も例外ではありません。そばやお米や野菜を一生懸命栽培しても、そのほとんどがシカやイノシシに食べられてしまう・・・そんな獣害問題が本当に大きな課題として、集落にのしかかっています。
春来区は峠のてっぺんに位置するので、周りは奥深い山に囲まれています。付近に多くの野生動物が生息していて、四方八方から狙われる存在です。さらに、冬季は積雪が多く、獣害対策も困難な地域です。
「春来の象徴」そばに対する被害も深刻です。
夏に種を蒔きますが、出てきた新芽を一晩のうちにシカに食べられ、全滅に近い状態になる農地が少なくありません。
山菜は豊かな自然の象徴。周囲が奥深い山に囲まれた春来には、タラの芽、コシアブラ、フキノトウ、ウド、ユキノシタ、わらび、ぜんまい、こごみ、スイバ、イタドリ、フキ、ヨモギ、タケノコなど、数多くの山菜が採れます。
写真はユキノシタ、ヨモギ、ウド、イタドリ
そして、そば処「てっぺん」で提供する山菜の天ぷらは、地元の人たちにとっても自慢であり、多くのお客さんが楽しみにしているメニューです。
しかしながら、これらの多くはシカやイノシシの大好物でもあります。
かつては 春になると、山菜についての問い合わせの電話がよくありました。
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「今年はフキノトウの天ぷらは出るか?」
「コシアブラは?」「タラの芽は?」
「シカに食べられてしまってないんです」
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と答えているうちに、最近は問い合わせもなくなってしまったということです。
「春」が「来」るというとても素敵な地区名なのに、その象徴である山菜がすべてシカに食べられてしまって、春の香りを楽しめない・・・そんな悲しい現実がここ数年続いています。
いろんな方法で獣害対策を実施してみても、これといった効果が得られない・・・。高齢になってもなんとか踏ん張って農業を続けている地域の方々も、シカ・イノシシの壊滅的な被害にあい、意欲をなくして離農していく・・・。耕作放棄地が増えればそこが野生動物の生息地となり、さらに獣害が深刻化する・・・そんな悪循環が続いています。
「このままでは地元産のそばを提供できなくなる・・・」
そんな危機感が地域に高まっています。被害はそばだけでなく、お米や高齢者が楽しみに育てている家庭用野菜など多岐に渡ります。春来自慢の美味しい蕎麦やお米、農作物が満足に収穫できない状況に。
いつの間にか、農業の一番の楽しみである収穫と喜びの笑顔が失われてしまっていました。
このままでは、集落に住み続けたいと思う人も少なくなってしまう・・・そのような心配が頭をよぎるようになっていました。
「さともん(特定非営利活動法人里地里山問題研究所) 」が春来区と出会ったのは、そんな危機感が増していた昨年のことです。
新温泉町実施の鳥獣害対策サポーターとして、地域の方々から獣害対策の現状やこれまでの取り組み、集落の事情、獣害がなかったら実現したいことなど、幅広く意見をお聞きしました。
その結果、次のようなことを実現するために、クラウドファンディングに挑戦することとなりました!
①「ここが春来の生命線」なんとしても死守したい農地を獣害