づくり講座、国際演劇祭の実施など地域に密着したプログラムにこだわり、総務大臣表彰にも輝いた実績をもつ劇場です。
客席数300と決して大きな劇場ではなく、また商業施設と隣接していたり、いくつものホールやスペースを備えているわけでもありませんが、銀河ホールには不思議な居心地の良さがあります。
劇場でありながら来場者を圧倒するような威圧感はなく、温かみのある内装は訪れたひとの気持ちを和ませ、ダム湖に面した抜群のロケーションは感性を自然に研ぎ澄ませてくれます。
実際、ギンガクにやってきた若者たちの多くがまず発するのも「かわいい」という一言だったりします。
ギンガクが西和賀町のためにできることとは……
さて、そんな素敵な西和賀町ですが、現在は人口がおよそ5,400人まで減少し、高齢化率もついに50%を超え、日本創成会議による2014年の「岩手県で最初に消滅する自治体」という指摘がリアリティを増しつつあります。
今後の行政サービスや除雪等の生活機能の維持のためにも「どうやって若者たちに西和賀に興味を持ってもらい、呼び込んでいくか」は町の死活問題となっています。
もはや前例踏襲や現状維持ではおそらくどうにもならないところまで来ているというのが私たちの実感です。
あまり悲観的になりたくない気持ちはあるものの、大きく言って下の3点については「町全体で共通認識化している大きな不安=打開策を見出せずにいる問題」といっても過言ではないように思われます。
1)人口問題(生産人口の減少、高齢化率の上昇)
2)町財政の悪化/地域経済の落ち込み
3)「明るい話題」や「前向きな変化」の少なさ/先行きの見えない不安
では、上に挙げた3つの問題に対してギンガクは何ができるのか。
あるいは、どんなアプローチになり得るのでしょうか。
とてもざっくりしていますが、簡単にまとめると次のようなことがいえるだろうと考えられます。
1)人口問題:若い世代の交流人口の増加(若者が西和賀を知る/訪ねる/また来る/住み着く)
2)経済問題:コスパのいい情報発信(滞在中の情報発信/滞在後のクチコミ/CFによる事業者宣伝)
3)不安感:地域になかった〈発想力〉〈創造性〉〈人脈〉〈ボキャブラリ〉による付加価値の更新
こういうまとめ方をすると「あーはいはい、地域再生とかでよく聞くそれっぽくまとめたやつね」と思われるかもしれません。
はい、その通りです。認めます。我ながらそれっぽくまとまっちゃってるなと思います。
でも危機的な状況を迎えつつある西和賀町にとって必要なものが、誰も思いつかなかったような起死回生のアイディアや奇跡のようなサクセスストーリーなのかといったら、私たちはそうは思いません。
よく聞くやつでいいし、それっぽくていい。
全然地味でかまわないから、小さくても確かな変化の手応えに西和賀町のひとたちとワクワクしながら、明るくイメージできる未来を少しずつ少しずつ広げていきたい。
そのために、私たちはギンガクを続けていきたい。
耳障りのいいそれっぽいフレーズに見えるかもしれませんが、現実として私たちが呼び込んできた若者たちのほとんどは【ギンガクがなければ西和賀町を知ることはなかった人たち】です。
その数は決して多くはないかもしれませんが、そのことの意味と可能性は決して小さくはないと信じています。
私たちはどんな時でもクリエイティブで能動的でありたいし、そういった姿勢でいること自体がそもそも地域に再生の可能性を与えるのだと信じています。
何よりこれからの