なぜ「調査」なのか?
~個人としての問題が社会問題として把握されるようになる~
当事者はどれくらいいるのか。どんな被害実態があるのか。効果的な施策は何か。
それらを調査することによって社会問題が顕在化し、法改正にまでつながったケースもあります。
「変えたいことがあれば、まず調べよう」
私たちはこれまでも、いくつかのリサーチをお手伝いしてきました。
調査内容が発信され、報道され、引用されることで、議論が活性化し、改善の動きも強まります。
私たちチームは、いくつかのリサーチ・ボランティアを継続する中で、差別や不当性によって問題を抱える方々やNPOなどから、「この件について調べてくれないか」「この分野についてのデータはないか」と依頼・問い合わせを受けることが多くなってきました。
これまで実行してきた調査は、その都度の寄付やボランティアで支えられ、単発のプロジェクトとして行われてきました。柔軟性がある一方で、調査員や資金の確保など、持続性の面で問題があり、チームの手弁当、睡眠抑制での対応が続いていました。
今後、持続して調査と発信を続け、ひとりでも多くの方々の社会課題解決につながるよう、荻上チキと若林直子が発起人となり、このたび「社会調査支援機構チキラボ」を起ち上げることとなりました。
「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の調査では、全国各地の行きすぎた校則やルール、理不尽な指導の実態を調査し、記者会見で調査結果を発表。それがやがて各地の校則見直しにつながりました。
校則の厳格化がかつてないほど進んでいること。「スカートの丈チェック」「下着の色指定」など問題のある指導がまかり通っていること。こうしたデータは、国会でも取り上げられ、大臣答弁も引き出したのです。
「Wetoo Japanプロジェクト」の調査では、多くの人々が「ストリートハラスメント」「オンラインハラスメント」を受けている実態が明らかになりました。通勤通学時間が長いほど被害に遭いやすいことや、制服の学生は私服の学生の倍、ストリートハラスメントにあっていることなどをエビデンスとして示しました。こうした被害風景の共有により、各所の環境改善の議論を後押ししました。
得られた調査結果を多くの方と共有したい
そして政策立案や社会活動、法改正につなげたい
不当に自由を侵害される。暴力的に心や体を支配される。望ましい道があるのに経済的理由や周囲の差別などによってあきらめざるをえない――。
そういった理不尽な体験について調査を行い、レポートを届け、会見を開き、ロビイングを行い、政策や社会活動へつなげていく。当事者や各NPO、専門家と連携しながら、ジャーナリスティックなテーマとデータ、そしてアクティビズムを接続していきます。
調査結果はオンライン上あるいは紙媒体で、多くの人に手にとってもらえるよう、公開してまいります。多くの人の手元に、データやファクトという道具を届けたるために、みなさまのご支援をお願いできれば幸いです!
「世の中の改善のため、<願い>と<スキル>をマッチングさせる」
法廷で戦うためには弁護士がいます。
病気を治すためには医師がいます。
では社会問題を解決するためには?
今の日本社会では、社会問題の当時者をサポートするための、「調査のプロ」と「PRのプロ」、すなわち社会発信の代理人のような存在がいないことに気づきました。
理不尽を減らすためには、デモをしたり、Twitterで声を届けることもできます。一方で、「記者会見はだれでもできる」「国会議員には誰でも会える」ということを、なかなか多くの人が思いつかない現状があります。
「街ゆく人にアンケートをとりました」では、社会問題化するための根拠として薄い。ただ、適切な専門知の下支えとともに、「日本社会の何割がこういう状況です」「この政策を求めていて、この政策が効きます」と示せる人は少ないのが現状です。
繋がり、調査し、発信し、議論を起こし、社会のあり方を考え直す。
持続的に社会課題解決に取り組むための母体を作ります。
みなさまのご支援をお待ちしております。(荻上チキ)
荻上チキ・プロフィール
1981年兵庫県生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session』(TBSラジオ)メインパーソナリティ。2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティ賞およびラジオ部門大賞)。著書に『いじめを生む教室』(PHP新書)、『みらいめがね』(暮しの手帖社)など多数。
若林直子・プロフィール
1975年東京都生まれ。PRコンサルタント、コーディネーター。社会課題