“これさえあればなモノ”を作りたい。第一弾としてバッグを作りました。


、POPEYEやMADE IN U.S.A、宝島などに影響を与えたとされています。私もこちら方面から興味を持ちました。その他にもアウトドア、音楽、ファッションの分野にも根強いファンがいる雑誌です。「Access to Tools」というサブタイトルがついていて、様々な”道具や知識”を紹介するのが、この雑誌の趣旨になっています。とかく私達の身のまわりのモノは、アレがトレンドだ、コッチはもうダサいと有象無象の情報が飛び交っているし、ECサイトは情報過多。SNSに至っては一億総言ったもん勝ち状態です。その点、このWHOLE EARTH CATALOGは、内容がとても簡潔です。「身近で使用する道具」をフィルターにしていて、良いモノを長く使う事を軸にしている為、情報に余計なバイアスがかかっていません。オススメありきでなく道具の原形や原点について淡々と解説しています。ネットで調べても、情報を比較・仕分けして正確に書かれているかを検証しなければならない現代に「そもそそも何だっけ?」という基本や原点を大事にして、時代を超える「これさえあればなモノ・コト」を伝えている点に共感して、このモノ作りプロジェクトを考えました。

まずは「素材」です。目的と用途に合う材料を探すことを徹底しました。

・丈夫で長く使える革。

革を使う理由の一つは、素材としての丈夫さです。合皮は加水分解して劣化することが多いですし、布は天然繊維でも化学繊維でも摩耗していきます。革の場合は大事に使って頂ければ、育てていくような感覚で、とても長く使って頂ける自然の高耐久素材です。

・サスティナブルな革。

革は天然素材であり自然から生まれたものです。元来、狩猟や畜産の中で食料以外で廃棄されるところを余すことなく活用したことから始まっているので、いわば最古の循環型素材と言えます。今回選んだ革を作るMASTROTTO社は、更に先進的な環境活動にも取り組んでおり、環境目標の達成規格ISO14001の取得。最も環境に良い持続可能性プログラムを推進しているLWGよりGOLD Ratedを取得。また、ドイツ政府環境庁が導入している安全性や機能性に関するBLUE ANGELラベルの認定を受けています。

・愛着がわいてくる革。

革本来の持つ風合いがあり、繊維が細かく、頑丈で耐久性に優れ銀面がしっかりしている革であることはもちろんですが色味や光沢感・シボ目等のナチュラルな仕上げにより、わざとらしくなく上品で上質な雰囲気に仕上がっていること。そして、派手すぎず地味すぎず、煌びやか過ぎず厳か過ぎず、毎日使っていく上で、日本の生活に「なじむ」ことを考慮した結果、数十種類の中からこの革を選びました。

「モノ作り」という言葉の中身。

・日本製であることの意味

熟練の職人さんとかメイドインジャパンとか、そう言った言葉にとどまらず、日本ならでは精神性の高い技術活動だと思っています。日常の「道具」として長く使えるように、きちんと丁寧に作ってくれること。それと思い描いたモノを形作るにあたって、高度な技術を持つ職人さんのいる工場と直接やりとりをすることで、思っていたモノを再現できる。そういったことを重視しました。

・生産背景

豊岡・大阪・東京がバッグの生産地として有名です。豊岡の職人さんが言うには「豊岡はビジネスバッグが中心。それ以外のバッグなら大阪や東京が良いのでは」とのこと。大阪の職人さんが言うには「フォーマルやドレスバッグなら東京やね」とのことでした。昔から、銀座や日本橋に百貨店や高級仕立て屋が軒を連ねていた