すらも楽しみながら続けることができ、なにより収穫しながらイチゴを食べて喜んでくれているみなさんの顔を思い浮かべると、冬の寒い朝でも励みに頑張ってこれました。
現在は新規就農3年目で、ようやく軌道にのりはじめたかに思えた2020年でしたが…新型コロナウイルス感染症の拡大、緊急事態宣言の発令…と未曾有の課題に直面。売り上げへの影響はもちろんですが、今回のようにどうすることもできない問題が起こっても、農園を続けられるようにしないといけません。そこで、これまで以上に通販での販売促進にも積極的に取り組むようになりました。またイチゴの生産・販売のほかに、元料理人の経験を活かして、イチゴの加工品やレシピの制作などを手掛けたり。限られた農地でしっかりと反収(10aあたりの売上)を上げるため、「ミライバナ」のある大阪北部を中心とした【大阪北いちご】のブランド化を目指すなど、新規就農者がどんな時代でも農業を続けられるための仕組みづくりを模索しています。そして、生産地と消費地が近い、人口の多い大阪で力を発揮できる「都市農業」だからこそ、とことん鮮度と品質にこだわった安全美味なイチゴを食べていただけるよう、日々研究を重ねながら、より多くの人に必要とされる農園を目指しています。
◆「ミライバナ」はイチゴを通して、魅力ある農業を活性化させたい!
また、私たちは「ミライバナ」でのイチゴの生育と販売を通して、新たな営農スタイルの提案を行い、魅力ある農業を活性化させる取り組みを行なっています。というのも、現在の日本は農業従事者の6割が65歳以上で、TPPによる関税撤廃などの影響で自給率が14%まで下がると言われています。つまり、農業が衰退していくと、私たちの子供や孫が「国産」を知らず、食べる機会がすくない時代がやってくるかもしれません。そうならない為にも、私たちは「農業の魅力をデザインする」「新規就農者を増やす」「生産者の所得増加を目指す」といった、3つのビジョンをもって、イチゴの生産に取り組んでいます。
実際の研修制度の様子
その一環として、農業に興味のある方からイチゴ農園の開園を目指す方に向けた、完全無料の研修制度を設けております。就農希望者の方が、学生からサラリーマンやフリーターの方まで、どんな方でも自分のペースと目的で研修して頂けるよう完全無料・自由な期間で受け入れを行っています。「農業とは?」の基礎を知れる1日農業体験から、長期の場合は本気でイチゴの生産・販売ノウハウを学べる雇用制度も。私が田植えや稲刈りでの体験を機に、農業の魅力や課題を知りミライバナをはじめたように、少しでも興味のある方が就農する動機やきっかけに貢献できるような制度も行なっています。
また、まだまだ始めたばかりではありますが、【大阪北イチゴ】のブランド化への挑戦も、これらのビジョンに沿った取り組みです。私が就農した頃は、大阪の北摂には若手農家が数人でしたが、今では10人以上と増加傾向にあります。とはいえ、栽培面積は限られているため反収を上げる仕組みが必要で、そのためには「大阪でも立派なイチゴを作れるぞ!」という発信をしてブランド力を高める必要があります。ブランド化が実現できれば、生産者の所得増加へつながります。そして、若い人たちが農家であることを誇ることができる仕組みになると信じています。私だって、「スーパーに並んでいたら、こどもからおじいちゃんおばあちゃんまで迷わず手に取る、みんなが大好きな〝あの大阪北イチゴ〟をつくっている」なんて日が来たら、とても誇らしく思いますし毎日の活力になると思い