1.はじめに:コロナ禍によるDVや虐待の顕在化
NPO女性福祉センターは、これまで「すべての人に安心安全の居場所をつくること」を目標に、2008年に前理事長 故原田美穂により福岡市で設立されました。主にDVや虐待の被害者を支援する活動として、行政機関や警察等と密接な連携のもとで、以下の活動をしてまいりました。
①被害者の緊急避難受け入れ(シェルター運営)
②警察、行政機関、家庭裁判所等への同行支援
③被害者支援活動の実態報告ならびに法改正へ向けた陳情等
④被害者の社会復帰へ向けた中長期的支援(シェアハウス運営・就労支援・学習支援)
2015年には、「子育て日本一の町」を掲げ、様々な公的支援体制を拡充されていた島根県西部の山間にある吉賀町へ本部を移転しました。町との連携を強化しながら被害者の受け入れを拡充、より安全に避難できるように体制を整えて参りました。
被害者にとって、加害者から逃げることのハードルはとても高く、大変な決断を強いられます。そういった方々にとって心強い体制が、吉賀町には整備されています。また、当団体理事長は元吉賀町役場職員。普段からの信頼関係がしっかりできており、ワンストップで支援をしています。
吉賀町の子育て支援
保育料無料 小中学校給食費無料 高校卒業までの医療費無料 など
※詳しくは吉賀町ホームページ https://www.town.yoshika.lg.jp/iju/kosodate/childcare/
現在は、福岡等遠方から避難してきた被害者家族の受け入れており、プロ家庭教師によるお子さんの学習支援、社会人スタッフや支援者によるキャリアデザイン研修等イベント実施だけでなく、365日24時間体制で生活改善・心の回復支援活動を継続しております。
シェアハウスメンバー誕生日の1コマ。
2020年、コロナ禍により生活様式に大きな変化がもたらされました。在宅勤務の家庭が増え、これまで以上に虐待やDVの問題が顕在化・深刻化しています。また、コロナうつなど心の不調を訴えるケースも増えてきており、私たちの団体にも他県からの問い合わせも寄せられています。
2.苦しい運営状況 ・春先に向けた支援体制の重要性
これから春先に向けて、進学や就職等により生活に大きな変化がある時期です。経済的な暴力を受けている被害者にとっては、とても過酷な時期になります。自力で生活する資金を持っていなかったり、就職や進学が思うようにできずに経済的に行き詰まって居場所がなったり、ハラスメント等で不調をきたして年度末に退職するケースも増えてきます。
NPO女性福祉センター本部は、島根県吉賀町という風光明媚な山間地にあります。この「安心安全の居場所」に様々な困難を抱えた被害者を受け入れ、一定期間生活を共にしながら、心身とも回復する支援をして社会復帰につなげる活動をしてきました。私たちの団体での回復支援の成功率は100%。学生の支援においては、進学率100%。さらに、保育士や介護福祉士等国家資格を取得した後も吉賀町内に住み、女性福祉センターの活動を手伝ってくれている若者たち(=しくみ委員会)もいます。被害者1人1人に寄り添い、長期的な支援を丁寧にしてきましたので、これまでは多数の方を支援できたわけではありません。が、支援の技術的ノウハウの蓄積がある程度でき、体制も固まった今こそ、支援の輪を大きくしていく時である、と考え