1.元気カフェふらっと 開店まで
2008年、高齢の方や障がいのある方のために役立てて欲しいと札幌市に寄せられた寄付を基にして、札幌市社会福祉総合センターのロビーを活用して障がいのある人の働く場所をつくろうと企画されました。
「欧米では、公共施設には当たり前のように障がいのある人の働くカフェがある」。それを札幌でも実現できないだろうか。そういう思いの学生や地域住民、福祉関係者などが集まり、数回のワークショップを経て、カフェのコンセプト、レイアウト、「元気カフェふらっと」というネーミングなどが決められました。
運営事業者を公募することになり、応募した中から私達「NPO法人地域生活きたのセンターぱお」が選ばれました。そして、2009年1月末にオープニングセレモニーが行われました。
2.その後の発展
元気カフェふらっとを運営するにあたり、私たちが心がけたのは、いわゆる「福祉の事業所」としての運営ではなく、一般就労と同様の形で、「当たり前の接客業」として運営していこうということでした。
最初から順調だったわけではなく、近隣の専門学校・会社へのPR、フレッシュマン(新入生)キャンペーンなどを実施しましたが、赤字にならない目標金額月額売り上げ100万円には届きませんでした。
どうすれば売り上げが伸びるのか考えていくうちに、お客様の増えない理由はスタッフの気持ちにあることに気が付きます。外部から講師を呼んで接客業の基本から研修を実施したり、日々のお客様との交流を通して、お客様に受け入れられることや働くことの喜びを習得していきました。そういったことがお客様にも伝わったのか、徐々に売り上げが増えてきたのです。こうして、開店から2年を経過した2011年7月に初めて月間売り上げ目標の100万円を達成、翌年2012年度からは年間を通じ月平均100万円をクリアできるようになったのです。
3.元気カフェの増殖
このように障害のある人の働く場所としての元気カフェの成功は、札幌市が障がい者就労支援政策の一環として次々と新しい元気カフェを開設することにつながり、現在4店の元気カフェが営業しています。また、札幌市内にたくさんのカフェが障がい者就労支援の事業として運営されるようになりました。私たちの元気カフェふらっとは、その先駆けの一つになれたかな、と自負しています。
札幌市 元気カフェ
4.訪れた危機
しかし順風満帆に見えた元気カフェふらっとに危機が訪れます。2018年5月から翌年3月まで、社会福祉総合センターが大規模改修工事に入り、ロビーが使えなくなるというのです。私たちは代替の場所を探したり、従業員の働く場所の保証をどうするかということで、様々な検討を行いました。
結果として、同じ法人で運営している区役所の食堂で、10か月間研修し、4月に復職するということになりました。しかし本当の危機は翌年4月に再開してからでした。
というのも、それまでのお客さんだった社会福祉総合センターの利用団体が、約1年間貸室を使えないということで、違う場所に活動拠点を移してしまっていたのでした。徐々にセンターの利用者が減り、元気カフェふらっとのお客様もじりじりと減っていました。しかし、再開すればある程度は戻るだろうし、新しい利用者も増えるだろうと考えていましたが、実際は、社会福祉総合センター自体の利用者も減ったままでなかなか回復せず、新しい利用団体の方もなかなかお客様にはなっていただけませんでした。
5.コロナウイルス感染拡大
それでも、2020年2月に