◉はじめに・ご挨拶
初めまして。諌山亮輔(たろちゃんYouTubeチャンネルhttps://youtube.com/channel/UCRIpx8JLI_HBUzYCCeBa2xw)と申します。私は大分県日田市で罠猟師として日々活動をしております。私の住む地域では農業・林業がとても盛んで猪や鹿の被害が身近に存在しており、私自身も実家の田んぼが荒らされたことがきっかけで罠猟師になりました。そこで今回若手猟師仲間で獣肉処理施設を立ち上げるためこのプロジェクトを発足しました。
◉処理施設を立ち上げるきっかけ
日田は水郷ひたとも呼ばれ、阿蘇山・久住などの山々に囲まれた盆地で長い年月をかけて育まれた天然の地層フィルターを通ることで誕生した日田天領水が全国でも有名です。奥日田は連なる山々と渓谷より流れ落ちる豊かな水を育む大自然。渓流では、ヤマメや天然のうなぎなど様々な生命が育まれています。約55000ヘクタールにも及ぶ森林面積を持つ日田。林業地として歴史を重ねてきたこの土地では、観光地化されすぎていない、ありのままの自然と向き合うことができます。
春は特産品の花わさびや山菜の数々。夏は根わさびやすももに梅、美しい湧き水の数々。岩盤を多く含む地質で構成されたこの土地では、約40年前に降った雨がゆっくり時間をかけて浸透したのち、様々な場所から湧き出ています。
山の味覚が盛りだくさんな秋は、原木しいたけをはじめとするキノコや、梨に栗など、様々な果実や野菜の収穫ができます。綺麗な水が豊かで朝夜の気温差が激しいこのエリアでは、その恵みを十分に受けて育ったおいしいお米も収穫できます。山林に恵まれた土地柄であり、林業や農業が盛んで日田杉で作られる下駄は天保時代より受け継がれる伝統です。
◉野生動物による被害
しかし現状ではこの豊かな自然が鹿や猪によって脅かされており、毎年の被害に悩まされる農家さんや山林所有者の方はたくさんいます。大分県の鳥獣被害額は申告されているだけでも農業・林業と合わせて1億7200万円にも上り対策が必要とされる現状です。猪に入られた田んぼは稲が倒されお米に獣臭がついてダメになってしまい、畑に入った鹿は野菜を踏みつぶしてしまうなど深刻な被害が後を絶ちません。左:猪によって倒された稲 右:荒らされた後のスイカ畑
町内の方々と協力し何日もかけて1㎞約300万円もかかる防護柵を設置しても穴を掘られたり、柵を折り曲げて入ってくるなど防ぎ切れない現状があります。
折り曲げられた防護柵
林業では鹿による食害痕や角研ぎ痕が腐り傷丸太としてB級品扱いになります。
左:傷丸太 中央・右:鹿の食害痕森林組合の方に聞いた話ではヒノキの苗を植林しても育つ前に鹿が食べてしまったり、鹿の食害によりスギやヒノキの樹皮が剥がれてしまうそうです。それにより木材となる予定の木が立ち枯れし、食害の激しいエリアでは大規模な土砂崩れが発生しています。 実際に起きた土砂崩れ
このように獣害の激しいエリアでは、防護柵のほかに加害獣の捕獲という形で対策をとります。加害獣の捕獲は地元の猟友会で取り組んでいますが、猟師の年齢は平均68歳と高齢化が進んでおり捕獲出来る人材が減少していき被害に歯止めが利かない状況に陥っていて農家さんの中には農業を辞めざるを得ない方も居るほどです。赤線枠内=耕作放棄地
農家さんが農業を辞めてしまうと耕作放棄地が増えてしまい、野生鳥獣の住処が拡大し人里と山との境界が曖昧になってしまいます。そうなると猪や鹿の生息範囲が民家とより近くなってしまい、農作被害が