切な削蹄とブロック(下駄)を用いた処置で快方に向かうのですが、牛が不調を訴える前に早期発見する事で大きな故障を防ぐことが出来ます。
②飼養環境が特殊な為、通常の削蹄の常識が通用しない
通常飼育されている牛は自由に運動が出来るフリーストールやフリーバーンと呼ばれる環境。もしくは常時繋がれているタイストールや繋ぎと呼ばれる環境の二つに大別され、それぞれの環境に合せた削蹄を行うのですが、闘牛の場合は通常は繋がれていて、訓練時には激しく運動をするので、どちらの機能も併せ持った蹄を目指す必要があります。その為、削蹄時には歩様の観察や蹄の状況を細かくチェックする必要があります。
③愛情故に切りすぎている。
蹄の重要度は言うまでもなく皆さん理解されているので、その管理頻度は非常に多くなります。その為、大事に管理されている牛ほど削蹄回数が多く「見た目が綺麗」なのですが「機能性」という観点から見ると牛の負担が大きくなっている事が多くあります。日本の伝統的な削蹄技法は「審美的」ではありますが現状、畜産の現場では近代的な思考の元に「機能的削蹄」が浸透しつつあり、闘牛もまた大型化と共に最新の考え方を取り入れる時期にきていると考えます。
以上3点の課題を解決すると同時に「ある事」に気付いた私は2回目の訪問を終えて直ぐに行動を起こしました!
私が気付いた【ある事】
闘牛の削蹄を始めて気付いた「ある事」とは?これまで筋や関節の問題と言われていた足の不調の原因の7割以上は「蹄の問題」だというです。これは丁寧な観察と適切な削蹄処置で殆どの場合が解決出来ます。諦めるのは時期早々。これまで関わった足の不調がある牛の8殆どは快方に向かっている実績があります!
(写真)しっかりマドリングをします!
アメリカ製最新保定枠場の導入失敗!
蹄を丁寧に観察出来る環境を整える為に、情報収集し北海道では主流になりつつあるアメリカ製の枠場を7月に導入しました。この枠場、機能は完璧だったのですが致命的な問題「闘牛が大きすぎて入らない」という状況が発生し使用を断念しました。枠に肩がぶつかりキョトンとする牛を見て現場は大爆笑でしたが、個人的には大ショック…途方に暮れてしまいましたが闘牛オーナーの方々の助言もあり、ここまで来たら自分で闘牛専用枠場を作らなければと決心しました。
(写真)沖縄に渡る準備をする米国製枠場
紆余曲折の闘牛削蹄
枠場以外にも挙足や治療手法など、これまでの削蹄の常識が通用しない様々な問題が立ちはだかりましたが、沖縄訪問の度に牛主の方々が深夜までアドバイスをくださったり、商売敵にもなり得る私に惜しみなく積み上げてきた技術や知識を教えてくださった現役削蹄師の先輩のご協力を経て少しずつ解決してきました。現在は枠場を除けば自信を持って提供できる削蹄レベルであると自負しています。闘牛削蹄に携わって以来、当初予定よりも随分多く沖縄を訪問しました。「住んでるの?」と言われる事もしばしば。正直、商売としては大赤字の数か月でしたが、課題→改善→検証を繰り返す日々は北海道修行で一部満足し、慢心していた僕自身の削蹄師としての意識と技術を高めるとても貴重な時間となりました。
今後の動き
プロジェクトの成功如何に関係なく闘牛専用枠場の製作は行います。が、皆様にご協力頂けるとより良いものが出来上がる事と思います。またこのプロジェクトを通して枠場だけではなく削蹄に対する意識や知識が少しでも広まるきっかけになればいいなぁと考えています。
毎月定期での沖縄・徳之島訪問は継続して続けていきま