特殊な貼り合わせ製法
財布の多くは“縫製”で作られます。
針と糸を用いて縫い進み、パーツを固定するものです。
ポピュラーな作り方ですが、私は使いやすさとコンパクトさを求めると
どうしても縫製ではかなわなくなり、
特殊な貼り合わせ製法を確立させました。
上記の図はどちらもカード6枚、紙幣10枚、コイン15枚収納時の厚さ比較です。左の縫製財布も特段厚すぎることはないのですが、貼り合わせ製法のbuffoがいかに薄いかお分かりになるでしょうか。
簡単に説明しますと「先に内装を組み立て、外装で包み込み、最後に蓋革を載せる」この工程に強力な接着剤やノリで固定するという物です。もちろんただ奇をてらったわけではなく、合理的な空間づくりなどに大きく貢献しています。
まず縫い代が必要ないので、収納物の形ピッタリに作る事ができます。また縫うための面積が存在しないのでこちらの造形はすべて、収納物を美しく、隙間なく入れるためのものです。
また耐久性も向上しました。
ただ貼り合わせただけで、なぜそんな事が可能なのでしょうか。
財布を買い替える理由として、縫い目のヤブれ・糸の擦り切れが挙げられます。
革は強い素材ですが、縫うという行為は穴を等間隔であける事。これはチケットのミシン目で、強い力がかかるとビリビリに破れる恐れがあります。しかし貼り合わせ製法はそもそも縫わないので、そういった縫い目問題とは無縁なのです。強く美しい製品が生まれました※ファスナー部のみ縫製でお作りしています。
そんなメリットばかりの製法は、全箇所必ず2枚以上の革が覆う事となります。たくさん革が重なると財布本体が厚くなるので、革自体を薄くしなければなりません。研究を重ねた結果、理論上は厚さ1枚0.4mmでも可能でしたが、安全マージンを取り約0.6mmまで薄くすることにしました。これが薄型財布になりえたワケですね。
クロム&タンニンのコンビ鞣し革“ラメール”100%使用
しかし一般的な革を薄くしすぎると、耐久性がないのはもちろん形状維持すら難しい。そこでとりわけハリの強い、本革ラメールを採用しました。北米産の原皮(ステアハイド)を日本の姫路・大喜皮革で加工した革で、独特のハリ感とバネ感を併せ持っています。クロム鞣し後、天然タンニンをたくさん食わせる大喜特有のコンビ鞣しが施されています。柄の高級感は十分ですし、汚れがついても取りやすいのでコンパクト財布buffoにピッタリ。そもそもバッグの表側などにも使う革ですが、それを普段見えない内装の裏面まで、全箇所総張りしました。この贅沢さもお楽しみください。
スルッと入って、がっちりホールド!紙幣ポケット
財布にとって紙幣は大きい収納物です。これをどれほどコンパクトに収められるかが重要です。それも貼り合わせ製法によって、無駄なく綺麗に収納可能。一万円札ギリギリに、しかし最低限の余裕を持たせて設計しました。マチも2mmあるので難なく入り、ストッパーも付けたのでコンパクト財布初心者の方も安心してご利用頂けます。
財布本体18mmにカードが6枚収納可能
カードはすべて1つのポケットで完結します。
予め6枚分立体的に膨らんでいるので、難なく収納可能!
この立体も貼り合わせ製法のなせるワザです。
スライド式カード収納
では断捨離まで可能なカード収納部はどのような仕組みなのか、①~③の順に分けて解説します。文字を見ると難しそうですが、要するに束をつかんで上から右方向に押すだけです。ちょうど切れ込み部が支点となりスムーズ