マダガスカルで緑の再生を ~児童養護施設から森を回復し鳥を呼び戻そう~

マダガスカルで緑の再生を ~児童養護施設から森を回復し鳥を呼び戻そう~
アンバトランピ市の児童養護施設の丘で外来樹(ユーカリ等)を在来樹に植替える自然回復を進めています。鳥や虫、豊かな海が戻ります。この活動は84年からJICA事業、施設支援、桜植樹などに取り組んできた石原(旧姓古矢)晃さんの遺志を継ぎ、NPO法人アジア母子福祉協会(AMCWA)が進めています。

はじめに

 NPO法人アジア母子福祉協会(AMCWA)は、アフリカ大陸の東に浮かぶマダガスカルで長年、植林にとりくんでいます。それは、

 いま首都の南、約80kmにある「アンパトランピ児童園」の敷地、約11haでユーカリなどの外来樹を抜き、在来樹に植え替えています。自然が回復し、虫や鳥や動物が戻り、海が豊かになります。

 約2haの植林を終え拡大中です。児童園では野菜・果樹の栽培や淡水魚養殖にもとりくみ、園児が参加し、技術を身につけ、暮らしていけるようになってほしいと願っています。 

解決したい社会課題

 観光にも不可欠なマダガスカル本来の自然の回復、そして児童養護施設の園児達の自立を目指します。 南部では干ばつ続きで飢餓が深刻化しています。本プロジェクトは植林による自然回復、青果や水産養殖の振興で干ばつ被害の軽減、海も含めた食糧事情の改善に貢献します。 

 マダガスカルの自然回復
 マダガスカルでは燃料として木材を伐採されたあと、成長の早い、外来種のユーカリなどが植えられてきましたが、絶滅危惧種の原猿類やカメレオン、両棲類、鳥類や昆虫などは外来樹の林には住めません。
 そこで、ユーカリ等の外来種を除去し、在来種の苗木を植え、マダガスカルの自然を回復する取り組みを進めています。バオバブ、カシア、ボニア、キダチキバナギ、クスノキなど多様な苗木を植え、土地にあったものを見極めていきます。

 施設の経済的自立、園児の健康と自立
 児童養護施設では野菜作りや淡水魚養殖にもとりくみ、運営費用をまかない経済的に自立する可能性があります。園児の健康も改善され、園児が技を身に着け稼げるようになる可能性があります。 

 森林回復は急務
 マダガスカルの森林面積は意外と少なく、国土の21.2%(2018年、World Bank Data Indicators)です。1990年から12,000平方km以上の減少、これは長野県の森林面積10,700平方kmを上回ります。森林回復は急務です。

ー取り組みの経緯

 AMCWA元専務理事石原晃(旧姓、古矢 )は1984年、現国際協力機構(JICA)プロジェクトでマダガスカルを訪問、以来プロジェクトや大使館勤務などを通じ、人々の自立的開発を支援してきました。

 大使館勤務の2009年、JICA青年海外協力隊の浜部めぐみさんの紹介でアンバトランピ児童園を訪れます。そこは殉職で親を亡くした孤児たちの施設、以来、毎年、この児童園を訪れ、食事を差し入れたり桜の木の植樹や手入れなどを教えていました。

 そうしたなか、石原氏は燃料用に伐採された木のあとに外来樹が植えられ、鳥、虫や動物が生きにくく、土壌や海洋にとってマイナスになることを知ります。

 2012年、外務省NGO事業補助金によりアンバトランピ児童園(敷地約11ha)で、畑作物改善による園児の健康向上、在来樹による環境回復、園内池での水産養殖の可能性などを本プロジェクトのサブリーダー、濱口光とともに調査しました。

 在来樹林回復の取り組みの始まりです。2014年~2020年の毎年、(公財)イオン環境財団様の助成も得てマングローブなど他地区も含め継続的に取組んできました。しかし、石原さんは2020年3月急逝、今年度よりAMCWAとしてひろく支援をつのり取り組むこととしたのです。
このプロジェクトで実現したいこと

 児童園における在来種植樹をあらたなエリアへ展開します。

 新型コロナで現地訪問は困難ですが、長年の協力者、NGO代表Haj