だった生態系に何かしらの影響が出ます。また、海洋ゴミのほとんどを占めるのは、分解されない樹脂製品です。 これらの誤飲や、ネットが絡みつくことによる窒息死など、私たちが考えている以上に、私たちの生活は生き物達に影響を及ぼしています。
それらを学んだ経験があったおかげで、今では地域の小学校に出向いて環境学習の授業を行う機会をいただくこともあります。そのような活動を通して感じていることは、子どもたちが環境問題に対して関心をもつきっかけがそもそも地域の中には多くないということです。
私は、仕事で県外(関東圏)の海を見て、改めて故郷の海がどれほど素晴らしいものかを痛感しました。海藻を含む、生き物の数や種類の豊富さや、海の透明感。身近な場所でもで安心して海水浴や磯遊びができるというのは、本当に恵まれている環境です。
こんなに素晴らしい海を、子どもたちと一緒に守っていきたい。環境問題を自分ごととして考えてもらうためには、まず環境に興味を持つことが必要。そのときに、自分には「水族館」という場所でそれを伝えることができると思いました。
既存の水族館との違いは?
①何度でも気軽に来れる身近さ
今回立ち上げるのは、私設の小さな水族館。もともとが公民館だったということもあり、お客さん一人一人とのふれあいを大事することができる規模感で、気が向いたら誰でも気軽に来ていただくことができます。
旧国見公民館
②環境問題への関心向上は多様なワークショップを通して
「クラゲの料理教室」、「海洋ゴミで工作体験」、「シーグラスでアクセサリーづくり」などのベーシックなものから、「クラゲ採取会」、「越前海岸の環境を生かした出張授業」、「近隣の事業者と協働しながら学習ツアー」等の企画なども予定しています。
地元の子ども達の課外学習
③田中だからできる非日常空間のクラゲ展示演出
長年にわたって海の生き物のプロフェッショナルとして活動してきた私だからできる空間演出で、訪れていただいたみなさんに非日常な体験を楽しんでいただきます。
④地元・越前海岸の仲間たちとのつながり
水族館に展示する魚やクラゲは、地元の漁師さんから提供いただいたり、基本的に福井由来のもの。
また、地元の若い事業者たちが集う越前海岸盛り上げ隊にも協力してもらい、お土産品の開発なども行っていきます。
越前海岸盛り上げ隊
越前海岸盛り上げ隊のメンバーとは、協働でナイトシュノーケルのイベントもすでに実施済み。船を持っている事業者が船と水中灯を提供し、海の生き物の専門家である私たちが参加者をガイド。そういった協働のタネがいたるところに転がっていることも、この地域で水族館を立ち上げることの大きな魅力と可能性のひとつです。
越前海岸盛り上げ隊と行ったナイトシュノーケル
越前海岸の特徴
越前海岸は、北は福井県坂井市の東尋坊から南の敦賀市杉津にかけての海岸線を指します。
私が活動しているのは福井市西部の海岸線エリアで、福井市の中心部から車で約40分くらいの場所に位置しています。
隆起海岸とよばれる地形の越前海岸は、海と山が目と鼻の先に位置し、周囲の緑豊かな山々から流れ込む栄養豊富な水が天然のワカメ、サザエやアワビなどの魚介類を育んでくれます。そんな環境だからこそ、さまざまな生き物たちの宝庫でもあるんです!
春には切り立つ山々に花が咲き誇り、夏には海が一段と透明度を増し、秋には澄んだ空気が極上の夕陽を演出し、そして、冬には荒々しい波が一層越前海岸の魅力を引き立たせてくれます。越前海岸はそんな四季折々の景色