ており、私たちの肺の奥まで入り込みます。
近年問題視されているマイクロプラステック同様に、河川や海に流れ、また空気中を漂い田畑や山頂までも飛んでいくマイクロカプセルは、環境汚染としても注視すべき問題になっています。
香害はいつから?
化学物質過敏症の人の多くが苦痛を訴えている人工香料が大量生産されるようになったのは、1960年代です。それでも当時はまだ、家庭には食事を中心とした暮らしのニオイがありました。
しかし、それが一変したのが、1990年半ばのことです。強い香りの柔軟剤、合成洗剤が次々と発売されました。同時に「香害」をきっかけに「化学物質過敏症を発症する人が増えた」と、専門医たちはいいます。
早くからこの香害問題に取り組む市民団体「香害をなくす連絡会」※1は、2019年12月下旬~2020年3月31日、「香り被害についてのアンケート」を実施。Web版と紙版の回収数は、9336人に上ったと公表。
その結果、「回答者の約8割の7000人以上の人が香りつき製品のニオイで、頭痛や吐き気などの健康被害を受けている」との報告をしています。
※1 「香害をなくす連絡会」構成団体=日本消費者連盟、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、化学物質過敏症支援センター、反農薬東京グループ、有害化学物質削減ネットワーク、日本消費者連盟関西グループ、香料自粛を求める会
化学物質過敏症で就労や就学に甚大な影響
過去、1990年代新建材に含まれた化学物質(主にホルムアルデヒド)によって「シックハウス(ビル・スクール)症候群」を発症する人が続出しました。
これらの発症者は「化学物質過敏症」と診断されました。以後、農薬をはじめ様々な微量な化学物質によって「化学物質過敏症」者が増えていきます。2009年10月1日「化学物質過敏症」は厚生労働省によって、病名登録をされましたが、いまだに一部の専門医のもとで診断されるに留まっています。
地元の医師を頼っても、「化学物質過敏症などという病気はない」「抗精神薬を処方する」といった診断が多く、理解をしてもらうまでに症状が重くなることもあります。さらに、柔軟剤を使用する医療従事者が、発症者たちにとっては症状を重くする原因になります。そのため、通院を敬遠することになりがちです。
また、「香害」は「香り」があり嗅覚が察知してくれため、くり返す健康憎悪からその原因が香料物質であると気がついた人も多いのです。
一方、香りではない、微量の農薬や合成化学物質によっても暮らし奪われ、こどもや若い世代は将来を案じることになっています。いずれも、その空気の変化は目に見えないもので、感じない人からは「ありえない」「不思議な」症状に映ります。
そのため、就労や就学や家庭、地域生活に甚大な影響を与えます。発症者の多くは周囲の人に理解をされないまま「窓を開けることができない暮らし」「一年中花粉の中にいるような日々」「学校給食の事故で多いように、アレルギー物質を無理矢理口にさせられるような思い」「近隣からの臭気で逃げ場がない状態」の日常を送っています。まるで、生きる権利を奪われたといっても過言ではありません。
被害の声は全国から
香料や微量物質によって健康を害した人たちは、これまでも全国で個々に被害を訴えてきました。でも、それでは、「個人的なこと」「ほかに声をきいたことがない」といわれ続けるばかりでした。
これ以上、その被害を拡げないためにも、またすでに健康被害を起こしていても、それが香料や微量の化学物質によるものだと気がついていない仲