虐待を受けた子どもが学校に通える場所「自立援助ホーム」の設立に向けて

虐待を受けた子どもが学校に通える場所「自立援助ホーム」の設立に向けて
虐待を受けた子どもたちの中には,家庭以外の場所で生活を始める子どもがいます。そのような子どもが,これまでどおり学校生活を送り,その後の自立を支える場所が必要であると考え,NPO法人子どもセンター帆希では,自立援助ホームを設立することとしました。

はじめに

虐待を受けた子どもたちの中には,家庭以外の場所で生活を始める子どもがいます。

そのような子どもが,今後も学校生活を送り,その後の自立を支える場所が必要であると考え,NPO法人子どもセンター帆希では,「自立援助ホーム」を設立することとしました。

自立援助ホームでは,24時間体制で保育士等の職員が子どもの生活支援を行います。

解決したい社会課題
児童虐待の増加

今般、児童虐待事件が次々と起き、大々的に報道がされたことで、児童福祉の分野に世間の注目が集まっています。

児童虐待は年々増加傾向にあります。特に千葉県は,全国でも虐待相談対応件数4位という状況が継続しています。

「千葉県HP 令和元年度千葉県の児童虐待の状況について(確定値)(https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/gyakutai/jidou/documents/jidougyakutaikakuteichikaisei.pdf)」

一方,徐々にこれに対応する体制が強化されつつありますが,依然児童相談所の一時保護所は定員いっぱいの状態が常であり,子どもの安心・安全な場所の確保が喫緊の課題となっています。
子どもシェルターの実践経験から

私たちNPO法人子どもセンター帆希は,平成26年から「子どもシェルター」を運営してきました。

「子どもシェルター」とは,虐待や貧困、病気や障がいなど様々な理由で,家庭や社会に居場所を失った子どもたちの緊急避難場所です。子どもの避難と安全の確保を最優先とすることから,次の特徴があります。

○ その所在地は秘密となっています

○ 一時的な避難場所であり,安全を第一とするため,ここから就労や通学をすることはできません

○ 概ね2か月を目標に子どもたちの次の安全な居場所を探します

【子どもシェルターはるつげ荘実践報告】

その実践経験から,次のことを実感しています。
○ 子どもたちの次の居場所の確保が難しいこと

 子どもシェルターはるつげ荘では、入所時に学生(小学校、中学校、高等学校、専門学校・大学)だった子どもは約81%と大多数であり、このうち高校生は全体の半数を超えていました。入所理由では、性被害が約23%という高い割合となっており、また他の施設の不適応を理由に生活場所を失った子どもがいたことも特徴的でした。

 このように子どもシェルターを利用した子どもたちのうち、性被害を受け、かつ学生であった子どもたちは、家庭引き取りや親族引き取りが困難な場合には、学校に通学できる安全な居場所が必要となります。しかし、千葉県内の自立援助ホームは常時満所に近い状態にあるとの説明を受けており、退所先が見つからず、シェルターでの在所期間が長期化した子どもも少なからずいました。就労を中心に生活する形で退所となった子どもについては転校や休学を余儀なくされており、また養育環境が十分整っていないことを理解しながらも学校継続を最優先して親族引き取りとなる例も見られました。
○ 子どもたちがシェルターへの避難を躊躇してしまう例があること

 さらに、これまでシェルター利用の相談がありつつも、学校継続を強く希望し、シェルターへの避難を断念し、殴られる等の被害がありながらも、それに耐えて家に留まるという選択をせざるを得なかった例も少なくありません。

 子どもの権利条約及び日本国憲法では,子どもには,守られる権利・幸福を追求する権利が保障されています。また,同時に学習をする権利も保障されています。

 しかし,このように,子ど