てしまうと痛手も大きくなるため、試行錯誤しようにもなかなかできませんでした。
通常は大きなタンクを使った、大規模仕込みです
もう1つは、販売段階でのリスク。時代の移り変わりとともにマイナーとなった酵母で醸すお酒は、必ずしも、現代の人たちから「おいしい!」と評価されるとは限らず、大量に仕込んだお酒が売れずに、持て余す可能性もあります。
こうしたことから、レア酵母で醸すといった「未知数な」取組みは、酒蔵にとって「挑戦したくてもできない」ことだったと言えます。
そんな中、私たち仙醸は今年、新しい設備を導入しました。
小ロットで日本酒を作れる設備です。
最小の仕込み単位は、150L。これまでの10分の1程度です。
この設備を導入している酒蔵は稀です
これなら、以前の懸念点を払拭し、
「おもしろそう!」と思う取組みにチャレンジできます!
しかも小さな設備であれば、お酒造りの工程のほとんどを冷蔵庫の中で行うことができます。
すると庫内は酵母にとって快適な温度に保てるので、季節に関係なく、つまり夏でも、新酒を搾ることができるのです!これは、「夏には高品質な日本酒は造れない」とされてきたこれまでの業界の常識からすると、画期的な変化です。
私たち仙醸は、この新しい小さな設備を活かして、この夏、レア酵母6種で醸す日本酒の飲み比べを実現することにしました!そして、日本酒造りに新しい風を吹かせるこのワクワク感を一人でも多くの方と共有するため、クラウドファンディングに挑戦します!
いよいよ!
\お待たせしました/
レア酵母の特徴
では、今回のプロジェクトの主役であるレア酵母についてお伝えします!
と言っても、先程申し上げたように、私たちも扱った事のないレア酵母。
一時代を築きながらも幻となりつつあるそれらが醸し出すお酒はどんな味わいなのか…
現時点では、「全くの未知数」!出来てみないとわからない、というのが正直なところです。
そこでひとまず、それぞれの酵母について、今の時点でわかっている特徴をお伝えしたいと思います。
1号:しばらく姿を消していた幻の酵母
出身地:兵庫県神戸市(灘) 櫻政宗さん
分離年:1906年(明治39年)…夏目漱石『坊ちゃん』が発表された年
頒布期間:1935年(昭和10年)まで
特徴:
当時にしては低温に属する摂氏20度で最適発酵し、濃醇な酒を醸した強健な酵母だった。
戦災で焼失したと考えられたが、2001年に奇跡的に再発見された。
2号:繊細で手のかかるマイペース酵母出身地:京都府京都市(伏見) 月桂冠さん
分離年:1912年(明治45年)…元号を明治から大正に改元した年
頒布期間:1939年(昭和14年)まで
特徴:
食い切りがよく濃醇な酒を醸した。真円形の細胞で、顕微鏡で見るだけで他の酵母と区別できる。発酵力が非常に弱く、スピードもゆっくり。“造り手泣かせ”な手のかかる酵母らしい。
3号:「辛口にして甘露」なツンデレ酵母
出身地:広島県三原市 醉心さん
分離年:1914年(大正3年)…第一次世界大戦が勃発した年
頒布期間:1931年(昭和6年)頃まで
特徴:
酒質の優秀さで評価が高かったが、保存中に変性したとして使用されなくなっていた。
3号が醸し出す香りは現在一般的に使われる酵母のそれとは異なるらしい。
4号:出自明かさぬミステリアス酵母
出身地:広島県下の酒造場(詳細不明)
分離年:1924年(大正13年)…宮沢賢治『春と修羅』が出版された年
頒布期間:1931年(昭和6年)頃まで
特徴: