、子育てコーチングの講座です。そのコーチトレーニングの冒頭で耳にした一言で、すっと肩の荷が下りました。
「お母さんはなにより尊い存在である」
シングルになり、とにかく目の前の生活を維持するのがやっとだったわたしは、そのとき自分自身が認められたような気がしました。一人目が生まれてから9年目にして、母としての自分がやっと承認されたように感じたのです。講座が進むにつれて、そこにいるコーチに対しての安心感に、涙が止まらなかったことを覚えています。
そこから少しずつ、コーチングのコミュニティが広がり、コーチという人たちの在り方を肌で感じるようになりました。相手を評価しない、そのまま受け取る、ただそれだけのことが、コミュニケーションをよりよくしていることが分かりました。わたし自身もコーチ仲間からそうして接してもらうことで、その感覚を味わい、自分もそうしたいと思うようになりました。
コーチとの出会い
そうして徐々にコーチとしての活動を広げていくうちに、ある一人のコーチと出会いました。そのコーチは顧客の主体性を顧客以上に信じてサポートしていました。セッション中の、表情やまなざしといった言葉ではないところで、全面的な承認を感じるのです。顧客の価値観で、なにを選んでも、どんな行動をしてもOKだと感じさせてくれるのです。古い価値観を引きずり、新しい行動になかなか進めないわたしの思考をそのまま受け止め、わたしが自分で進める環境を整えてくれました。決して手助けはせず、自分の内側から出てきた言葉をもとに、自分で行動できるよう、ただ見守ってくれました。だからこそ主体的に動けたのだと思います。このコーチングでわたしは、まったく別の次元に辿り着いた感覚があります。そして、顧客が自然に次に挑戦したくなるのは、コーチが顧客を圧倒的に信頼しているからだと確信しました。
人生のターニングポイント
そこがわたしの人生のターニングポイントになり、それまでとはまったく違う人間関係が広がりました。長期的な人間関係を築いていきたいと思うようになりました。株式会社を設立し、こうしてマッチングプラットフォームを開設し、そのためのクラウドファンディングに挑戦しているわたしなんて、コーチングに出会う前のわたしからはまったく想像がつきません。コーチングと出会って初めて、自分の人生を自分で歩いている実感を得られました。
目標を達成したり、成果を出すためにコーチングを使うのですが、その結果だけではなく、信頼と安心を感じたらどうなるかということをたくさんの人に味わってもらいたいと思っています。
ただ、今のところ、コーチングの認知度はあまり上がっていないように思います。一部のビジネスマンの間で、コミュニケーションを活性化させるツールとしてコーチングは注目されてはいます。とはいえ、実際にコーチングを利用することでその人の人生そのものにおいて成果をあげていかれるであろう人々にまでは届いていないように思います。
また、コーチングがなにかという理解がまだまだ浸透していないところもあると思います。そのせいか、コーチのマーケティング力によって活躍できる範囲が決まってしまうようです。つまり、売る側が「コーチング」と言ってしまえば、コーチの実力に関わらず、マーケティング力があれば売れてしまうというのが現状です。実力あるコーチたちは地道に活動していますが、集客に悩み、挫折して諦めていく人は少なくありません。ビジネスで注目されている分、コーチの数は増えつつありますが、コーチングの市場は全体としてあまり広がっていないように思