歴史的建造物の再生プロジェクト x The Japan Times

歴史的建造物の再生プロジェクト x The Japan Times
日本中に存在する歴史的建造物が、朽ちることなく、たくさんの人に見守られ、手入れされ、使われ、次世代に引き継がれることを願い、歴史的資源の活用を通じた文化の継承を進めるプロジェクトです。

はじめに・ご挨拶

“The Moment”による第3回目のクラウドファンディングプロジェクトでは、利活用してマネタイズすることで歴史的建造物を再生、保存していくことを生業とするバリューマネジメント株式会社の取り組みをご紹介し、いかにして持続可能な形で文化を継承していくかについて考えたいと思います。
第3回“The Moment”プロジェクト、バリューマネジメントへの期待

バリューマネジメントがこれまでに手がけてきた文化財などの歴史的建造物やまち並みの活用事例は日本各所にわたり、中でも目を引くのは、本物のお城に宿泊できるという、愛媛県にある大洲城のキャッスルステイです。ヨーロッパに行けば古城をした改装したホテルなどもありますが、ここ日本でお城といえば、あくまで見に行くもの。内部も公開されていて、天守閣まで登れるものもありますが、城で寝起きするのがどんな感じかというのは、城見物をしたり、テレビの映像を見たりして想像するしかありません。

ところがこの大洲城は、日本で初めて、木造天守に宿泊することができるお城なのです。城主の気分を味わいながら、歴史に触れるこのキャッスルステイは、どんなプロセスを経て実現したのでしょうか。また、歴史的資源の活用を通じた文化の継承にかけるバリューマネジメントの代表取締役である他力野淳(たりきの じゅん)さんの思いとは。まだまだ日本中に存在する歴史的建造物が、朽ちることなく、たくさんの人に見守られ、手入れされ、使われ、次世代に引き継がれることを願い、みなさんと一緒にバリューマネジメントの取り組みを応援したいと思います。
■今あるものを先の世にも

長崎に生まれ、神戸で育った他力野さん。奇しくも他力野さんが生まれたのは、長崎に原爆が投下された日と同じ、8月9日です。海軍出身のお祖父さんからは戦時中の悲惨な体験談を聞き、子供ながらに戦争、そして戦争によって失われていったものに思いをはせることが多かったそうです。

1995年、21歳のときには神戸で阪神淡路大震災を経験し、「今日の当たり前が明日の当たり前ではない」ことを身をもって知ったという他力野さん。しかし、たとえ天災や戦争が起こっても、難を逃れたもの、人々が決死の覚悟で守り抜いたものもあります。一瞬にして破壊されてしまった歴史あるまち並みや建造物なども、その後の人たちの努力によって再建されたり修復されたりして今に引き継がれたものもあります。

そういった価値あるものを、この先も残すためにはどうすべきか ­−−− 被災時に21歳だった青年に湧いてきた問題意識をすぐにビジネスに発展させるには、まだ時間も経験も足りませんでした。そこで、まずは大学卒業後にリクルートに入社し、「ゼクシィ」(結婚情報誌)などの担当を経て、社会のニーズを見極めながら、サービス、ホテルなど様々な業界での経験を積みました。こういった経験は、歴史的建造物、歴史的資源を活用した「まちの事業化」というバリューマネジメントの取り組みに活かされています。震災を経験してから10年、2005年に設立されたバリューマネジメントは、一ヶ所、また一ヶ所と、日本中に存在する歴史的建造物やそれらを取り巻くまち並みを、自立可能、持続可能なやり方で残していくための取り組みを続けています。
■歴史的建造物の現状

日本には約150万棟の歴史的建造物があるそうです。それらの持ち主は、大きく分けると民間、行政、神社仏閣の3つですが、それぞれに課題を抱えています。まず民間の場合、修理・修復費用や税金、その他維持費などがのしかかり、自分の世