女の口から、自身の過去についての話をしてくれたことに驚きました。自分の人身売買被害について語る時の彼女は、緊張した素振りで話していました。しかし、私にはそこに彼女の強い意志が見えました。
サビティリはネパールで起きている人身売買の現実をシェルターで学び、
「自分のような辛い思いをする人はいなくなってほしい」
「これからは自身の経験を語ることで、人身売買をなくす一助になりたい」
という大きな夢を持っています。
このプロジェクトは、創設者である尾嶋心、谷口瑞歩の2人が始めた取り組みです。「TEEJ」が行われる特別な日に、2人はシェルターを訪問しました。ここからTSUBAKI projectはスタートしました。
第1回目のクラウドファンディングは沢山のご支援により成功し、まだもっと多くの女の子たちに
「忘れられないTEEJ」届けるために、今回2回目のクラウドファンディングを行うことになりました。
TEEJとは?
TEEJとは、ネパールのお祭りのひとつで女性が主役のお祭りです。伝統的な考えでは、既婚女性は子どもと夫の健康を、未婚女性は将来の夫を迎えられるように祈るお祭りです。現在は男女関係なくネパール中の人が一日中熱狂し、たくさん食べてたくさん踊る、とても賑やかなお祭りです。
TEEJで女性が着る伝統衣装はサリーと呼ばれていて、インドやネパール等の南アジア地域の伝統衣装です。色は日本の色彩よりもずっと鮮やかで、踊りの上手なネパールの女性が着て踊ると色が映えて豪華に見え、とてもきれいな衣装です。
私たちがTEEJを一緒に行うのは、Shakuti Samuha (シャクティ サムハ)という団体が運営しているシェルターです。シェルターは、性的搾取の被害に遭った女性を保護し、衣食住の支援、医療、教育などの自立支援を行う役割があります。Shakuti Samuhaはネパールで初めてサバイバーが創設したシェルターで、ネパール社会からのサバイバーへの偏見や誹謗中傷の中でサバイバーが集まり、Shakuti Samuhaが創設されました。現在はネパール国内で5つのシェルターを運営しています。
「サバイバー」
皆さんはこの言葉を聞いたことがあるでしょうか?
性的被害に遭い、そこから救出された女性たちは「サバイバー」と呼ばれています。彼女たちを被害者と呼ぶのではなく、つらい体験を乗り越えたという意味から来ています。
ネパールでは性的被害が長年問題になっていて、性的搾取目的の人身売買とレイプ被害が起きています。現在、年間約12,000人の人が人身売買の被害に遭っていると言われています。
「年間12,000人がお金で買われている」
日本ではとても想像できませんが、実際はこの人数は氷山の一角に過ぎません。
人身売買が起きる原因は様々で、その中でも、ネパールとインド間のフリーボーダーは特徴的な要因です。
フリーボーダーとは、パスポートなしで国間を自由に行き来できる国境のことです。日本に暮らす私たちにとっては、自由に旅行できて一見便利そうに見えますが、フリーボーダーの存在が人身売買被害を加速させる存在になりネパールの人を脅かしています。
またネパールでは親や親戚に売られることは、当たり前に起こり得ます。近年では、SNSで繋がった人が、実はブローカー(加害者)だったという事件も増えています。
(上:ネパール側国境にて、NGO職員が検問している様子/下:ネパール側国境)
売られた先の売春宿では、住み込みで働いているのにも関