「時短・リモートワーク・自粛」で、オフィス街の店舗営業に赤信号が
「カレーハウス林」店主の林泰弘です。カレー好きが高じて8年前に脱サラで田町にカレー店をオープン。「味にこだわる方にも納得いただけるもの、カロリーやコレステロールを気にする方にも美味しく食べていただけるものをお届けしたい」という思いで、カレー作りに邁進してきました。おかげさまで「油を一切使わない、フレッシュなスパイス香るヘルシーカレー」は多くのみなさんにご好評いただき、場所柄、ランチタイムには多くのオフィスワーカーの皆さまにご利用いただいてまいりました。また私自身が長年ギタリストとして音楽に関わってきたこともあり、夜はディナーライブやセッションもひんぱんに催し、多くのミュージシャンのみなさんにご活用いただける場としても、長年ご愛顧いただいてまいりました。小さいながらも個性ある店として、一昨年前までは順調にお客さまを増やすことができていたのですが、そんな中で降りかかってきた突然のコロナ禍。昨年4月の自粛後には売上げが半分以下にまで落ち危機的な状況に。しかし「何か道があるはず」と考え、皆さまの応援にも支えられ、どうにか店を畳まずに続けてきました。秋頃からは少しずつ売上げ回復に向かっていたのですが、再びやってきてしまった先頃の緊急事態宣言。時短、リモートワーク、自粛が叫ばれる中で、オフィス街からは急速に人が激減し、店舗営業がいよいよ窮地に追い込まれる事態となっています。
打開策として、店の味を再現したレトルトカレー発売を決意
今のままでは店の継続が難しい状況にあります。しかし「おいしいカレーを食べていただきたい」「カレーで元気になって欲しい」「夜は音楽の楽しさを共有できる空間で、心の栄養をご提供したい」という、私の思いは変わっていません。今の自分に何ができるのか‥悩んだ末、打開策として考えたのは「店舗のヘルシーカレーを何とかご自宅でも味わっていただけるようにする」ことでした。テイクアウトやデリバリーはすでに行っていますが、都心は今、人そのものが疎らになっており、限られたエリアや人を対象とする対策だけではおぼつかない状況ですし、これまで電車等で来店してくださっていた離れた地域の方にまで当店の味をお届けすることはできません。
そこでもう一つの軸として考えたのが、「レトルトカレー」の販売です。当店のカレーは長い試行錯誤を経てたどりついたレシピとメニューなのですが、その知見を活かし、新たな商品を作れば、店舗に来られない方にも独自の味を楽しんでいただくことができるのではないかと‥。現在すでに2種類のレトルトカレー、店舗でも人気の「チキンカレー」と「チキンほうれんそうカレー(店ではひき肉ですが、こちらではチキンを使用)」の開発を進めていますが、お手元にお届けできるまでには、まださまざまなトライ&エラーが続きます。これを商品化し、新たなプライベートブランドを軌道に乗せることができれば、収束が見えないコロナ禍も、何とか乗り越えられるかもしれない。そんな希望を持って、取り組んでいます。
人に元気をもたらす「カレー」と「音楽」の灯を消したくない!
カレーのターメリックやスパイスが体の免疫力向上や抗ウイルスに有効という説は以前より多く語られてきました。たくさんの方にカレーを食べていただくことは、このコロナ禍で、自分なりにできるささやかな社会貢献ではないかとも考えています。今は店舗に食べに来ていただくことは難しいかもしれませんが、私監修の新発売カレーをたくさんの皆さんに召し上がっていただくこと