はじめに・ご挨拶
私たちは、東北芸術工科大学で行われるアーティスト養成プログラム(TUAD Incubation Program:通称「T.I.P」)に参加し、日本画、洋画、工芸、彫刻など様々なジャンルを交差させつつ、アート作品や展示の新しい価値感を探っています。
さて、未知なるウィルスや自然災害が次々に襲う現代社会。数十年前は空想の世界としか考えていなかったSF映画やサイバーなアニメーションのような「異質な世界」が、私たちの「日常」に迫っています。また、そうした出来事が日々メディアで報じられ、私たちの無意識にまでも影響を及ぼそうとしています。
コロナ禍にある現在、人と人とのコミュニケーションが断絶し、リアルな体験が失われがちな日常で、人々はデバイスの向こう側に、新しい刺激を求めざるを得ない状況です。しかし、本物の刺激は、日常に慣れてしまった目をリセットすることで見つけられるはずです。
アート作品には、私たちの当たり前や常識を一歩引いたところから客観視できる「価値変換」としての力があります。それは「奇態(風変りな様)」な物を日常生活の中に置くことで、私たちの凝り固まった意識の歯車を回り始めさせるからです。コロナ禍の影響で世界の情勢が変わりゆく現在、今を生きる多くの方に私たちの作品を手にとっていただき、楽しんでいただけたら幸いです。
このプロジェクトで実現したいこと
アート作品の展示と言えば美術館やギャラリーなどの「ホワイトキューブ」と言われる空間が主でしたが、私たちは「生活から断絶された場所」ではなく、「居住空間の中」でのアートの可能性を考えたいと考えています。なぜなら、デジタル化が加速する現代では、仮想空間でもアートを楽しめるようになりましたが、一方で、物質的な手応えのある体験とは少し疎遠となってしまった部分があるからです。
「アート作品は美術館で鑑賞する」というような手の届かないものではなく、アート作品とダイレクトに触れ合う機会を作りたい。このクラウドファウディングを通して、みなさんの日常にアートをインストールしたいと思っています。
これまでの活動
◯オルタナティブスペース「heso」運営メンバー(正村公宏×渡邊涼太×斎藤志公)
私たちは、古民家をリノベーションしたオルタナティブスペース「heso」を2020年10月にオープンさせ、この場所を拠点に、居住空間の特性に着目したアート作品の展示、地域のカフェとコラボレーション展示など、「場」の特性を活かしたアート作品の発表を展開してきました。
オルタナティブスペース「heso」インタビュー
https://www.reallocal.jp/83684
資金の使用方法
クラウドファンディングで集まった資金は、皆さまへお届けする返礼品の制作費と地方での活動費に使用させていただきます。
○メンバーのそれぞれの製作費
○オルタナティブスペース「heso」の内装費、イベント運営費
学生・作品の紹介
◯正村 公宏(Masamura Kimihiro)
私たちは、何らかの動作を行う瞬間を「エピソード」として記憶することは可能ですが、その場面を「図像」として長期的に記憶保存することはできません。では場面を図像として描き起こしたならば、果たして記憶の中のイメージと合致するのでしょうか。もしくは違う見え方になってくるのでしょうか。 私は、人間の動作の連続性を表現し、私たちが持つ記憶についてアプローチしたいと考えています。
◯渡邊 涼太(Watanabe Ryota)
スマートデバイスによる