伊勢崎市内の中学校で講演会をする活動家の方々の協力もあり、さまざまな銘仙の技法や歴史を知ることができました。
最盛期(大正〜昭和初期)に職人だった方からお話を聞いたり、保存されている資料や過去の活動から、銘仙と地域産業の発展過程を学びました。
私の親戚、知人で産業に携わっていた方に話を聞く中で、織物産業は地域の発展と女性の社会進出に貢献した重要な要素だということがわかりました。家で仕事ができる機織りは多くの女性によって成り立ち、経済的にも家庭の支えになっていたそうです。
銘仙活動家の方々とのディスカッション
絹100%、平織りもの、色鮮やかなテキスタイル(柄)などの特質を捉え、今回のクラウドファンディングのリターンとして設定した新商品のように、これまでも銘仙の魅力を最大限に発揮できるような衣服を開発してきました。
私たちは、①地域が文化の真の価値を理解し、②プロダクト開発・生産を通した産地の復活、③全国における文化の認知を広げていくの3つの循環を生むことで銘仙を現代に紡ごうとしています。
この循環により、文化を築き上げてきた「産地」が自らの技術や歴史を客観的に評価することができ、他者に対し「語る・伝える」、文化が発展すると考えています。以下、この循環を生む3つのステップについて、現状(before)、具体的アクション(action)、目指したい未来像(future)に分けて見ていきましょう!
群馬県の人たち地元が銘仙の産地であるにもかかわらず、銘仙について聞いたことはあるけれど「実際に見たことがない・触れたことがない」という人が多く、認知は浸透しているものの、銘仙を知っていても高度な技術を持っていた事実を知らない、または軽視する傾向があります。それゆえ、技術の詳細や歴史に関する文書などの保存が少なく、生産が困難な今、銘仙の存在自体も認知されない状況になりつつあります。
そこで、地域へのアプローチとして、Ayのビジョンや活動の発信を強化してきました。活動家の方々と当時職人であった方に直接お話を伺い、学んだことをわかりやすくまとめ、新聞やラジオ、テレビといったメディアなどでお話しさせていただきました。
VOGUE JAPAN FNI z世代×小泉環境大臣対談イベントにて活動発信
こうした発信を継続していくと、地域の方々の認識に変化が少しずつ現れてきました。「銘仙の価値を再認識した」との声や、同世代から「郷里の文化を知ることができた」という声をいただきました。文化を築いてきた地域が、その価値を理解していくことでこれからの時代に紡がれていくと信じています。このクラウドファンディングでもより多くの人と繋がることを目指しています。
かつて織物・養蚕業が盛んだった群馬県ですが、西洋化による市場の縮小とともに産業も縮小し、仕立て屋や機織りはほとんど見られなくなっています。しかし、縫製工場や繊維工場、染色工場などにを変わりながら地域技術を受け継いでいます。現在は全世界から安価に手軽にものが買えます。便利さゆえ、どこでどのような特徴で作られているのかという情報と「産地」が不透明になっているのです。
銘仙を身近に体験できる機会を提供したいという思いから銘仙の着物を服や小物として生まれ変わらせる開発をしてきました。また、県内の工場との連携を進め、持続可能な商品供給と地域還元に取り組みながらも、そこの循環だけで完結してしまわないように、Ayを応援してくれる人たちが文化を紡いでいけるような仕組みづくり