障がい者も健常者も同じデザインのお出かけ着

障がい者も健常者も同じデザインのお出かけ着
障がい者の方たちから『出かけるための服!』の制作依頼を受け、重度の障がいを持つ方が必要とする機能が備わった洋服の開発に1年を要し、遂に完成しました。健常者から障がいを持つ方まですべての人に気兼ねなく外出をしていただきたい願いを込めて、多様性を認める社会への希望を持って、このプロジェクトをはじめます。

はじめに・ご挨拶

こんにちは!私たちは株式会社ココン・スタジオと申します。株式会社ココン・スタジオは2002年にアパレル出身のメンバーが集まり、有限会社ココン・スタジオとしてスタートしました。

関西を中心にフリーで活動しているデザイナーやパターンナー、国内の縫製工場や2次加工の工場など、多くの方々に協力してもらい主にOEM事業として衣料品の商品企画、パターン、国内生産などを手掛けている企業です。
このプロジェクトで実現したいこと

重度の障がいを持つ方が必要とする機能が備わった『出かけるための服!』を健常者と同じデザイン性で提供したい!
プロジェクトをやろうと思った理由

難病指定されている病気であるALS(筋萎縮性側索硬化症)の当事者とご家族の方から、ご相談を受けたことが今回の商品開発の発端です。2020年のことでした。

ALSとは進行性の神経疾患で手足・喉・舌の筋肉や呼吸にまで筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく病気であり、自分の意志で身体を動かすことが難しくなる難病です(※)。でも、その相談内容は思いもつかない意外なものでした。

『出かけるための服!』

市販されている障害者用の服は下着やパジャマなど、基本的に闘病や家で寝たきりをイメージされているものばかりだといいます。

でも、実際は散歩から子どもの学校行事、冠婚葬祭にも参加したいし、講演会の講師を依頼される人もいると聞かされました。

今までアパレル衣料のみならず、マタニティやテーマパーク衣装、ユニフォームなど、デザインだけではなく機能性が重視される分野も手掛けている私たちは、今こそこの期待に応えたい!

重度の障がいを持つ方が必要とする機能が備わった『出かけるための服!』をつくる必要があると思いました。

※ALSに関する説明は当社(プロジェクト実行者)及び依頼者が理解している情報に基づく説明となります。
これまでの活動

SNSの普及とともに、インフルエンサーやインスタグラマーのような個人の方がオリジナル商品の生産から販売までを手掛けるようになりました。

弊社のような小ロットで、企画・相談から生産までを手掛ける業態には、これまでに無かった商品の相談が来るようになりました。障がいを持つ方の洋服を作ることになった経緯も、そんな個人の方からの相談がきっかけです。

最初は、2019年に障害を持つお子様のパジャマを製作しました。片腕が動かないことで従来のパジャマの着脱が出来ない。子どもの障がい者用の市販のパジャマは選択肢があまりなく、成長に合わせて自分で出来ることと、出来ないことに沿った服が欲しいとのことでした。
商品開発の道のり

重度の障がいを持つ方にとって、『出かけるための服!』に必要な機能は想像以上にたくさんありました。

・着脱のために従来の服にはない釦やファスナー開き

・寝ている状態が長いため、後ろのデザインは出来るだけ生地の重なりや、縫い代の厚みをなくす

・車椅子に座る際の、パンツの前後の履き込みと、締め付けないウエスト寸法

・リハビリのための装具が取り付けられるデザイン

・胃ろうや呼吸器を取り付けられる開きをつける

などなど。これまでの既製服の作り方では考えた事のない難題が山ほどありました。

何度も試作品を作っては確認すること1年あまり、ようやく理想に近づいてきたと思います。

ですが、そこまでの機能を付けると制作費が膨らみとても高額な商品になってしまいます。

考えた末、同じデザインで障がいのレベルに合わせて、機能の違う商品を作ろうと決心しました