取り組む空き家は、当初壁はおろか屋根までもが蔦に覆われているなかなかハードな平家でした。しかし、自分達の手で蔦を取り去っていくことで、だんだんとこの家の素性が明らかになってきました。内装に至っては、築40年でありながら丁寧に使われていたことが伺い知れるコンディションの良さです。これまで廃墟同然の空き家や有休施設を蘇らせてきた私達にとって新築といっても過言ではありません。
蔦を取り去り、掃除をすることでこの家のポテンシャルが見えてきました
しかし、この家には、ゲストハウスとして貸し出すに際して問題がひとつありました。それはトイレが汲み取りということです。簡易水洗という方法があるのですが、ゲストハウスとして運用するためには合併浄化槽にするのが適切です。普通の住居ならば合併浄化槽を設置するために自治体の助成金が使えるのですが、事業用では助成金は下りません。
倒れた臭気配管。汲み取り式トイレを合併式浄化槽に改修します
そして、今回のリノベーションで最も力を入れたいこと、それは「妻の夢」をカタチにすることです。妻には、アーティスト・イン・レジデンスをやりたいという夢があります。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが地方で創作活動を行い、年に数回アート展覧会や音楽会を開催し地域活性の一環を担う取り組みです。アーティスト自身の成長や活躍する場ですが、同時に人々がアートや音楽を身近に触れ交流する機会にもなっています。
妻自身もクリエイターとして活動しています。より自然と調和した環境で創作活動をするために、オーストラリアのバイロンベイに2年間滞在していました。世界中のアーティストやミュージシャン、サーファーと交流しながら自身の創作活動を続けるなかで、日本でももっとアーティストが活躍できる場、そしてアートに触れる場を作りたいという今の夢を持つに至りました。帰国後、2019年に宮崎県日向市の隣町の門川町で地域おこし協力隊として観光振興に携わっていた時に無人島の乙島(おとじま)で初の音楽フェスを企画しました。今思えば、あの時の思いが根底にあったからだと思います。
妻が乙島(おとじま)で企画した音楽フェス
そんな妻の夢の第一歩として、コムレッジ日向2号店はアーティストが集い創作活動が促進するスペース、またある時は地域のコミュニティハウスとしてさまざまな創作と団欒の場としていきたいと考えています。家自体も現状の造りを生かしながらも創作と団欒が生まれる空間となるようなリノベーションをしていきますが、敷地内に併設している納屋を改修して創作に集中することができる創作小屋を造りたいと思います。
身近にアートと共存できる空間を創出(以前関わったゲストハウスのレセプションに妻の作品を展示)
私たちが愛してやまない宮崎県日向エリアの魅力
宮崎県日向エリアの魅力を改めてご紹介したいと思います。この地は、海・山・川、豊かな自然に囲まれていて、これらの恵まれた環境と一体になったスローライフやアクティビティを満喫することができ、オーガニックな食生活が日常的に営まれています。また、気候が穏やかで人々は優しさに溢れていて、訪れる人はまるでこの地が自分のふるさとではないかと錯覚してしまうほどです。「人の優しさ」と「自然の恵み」溢れる宮崎県日向エリアは、移住はもちろん二拠点生活やワーケーション、大自然からインスピレーションを受けながら創作活動に取り組むアーティストにとって最適な町として注目されています。
日向市の移住プロモーション動画(私も以前関わったゲストハウスの管理人と