い、とも思っています。
もうひとつ、「読書」というものに対する想いもあります。
古くから日本は、識字率が抜群に高い国だったと言われます。
識字とは、読み書きのことです。リテラシーともいいます。
しかし、文字を読めるからといって、文章が読めるとは限りません。
文章が読めるからといって、行間が読めるとは限りません。
行間が読めるからといって、他人の気持ちを読めるとは限りません。
リテラシーが高いはずの日本でも、他人の気持ちを考えずに誹謗中傷のツイートが為される話はよく耳にするようになりました。
文章も、行間も、他人の気持ちも、
読むためには「想像力」が必要です。
読むことで「想像力」が鍛えられます。
動画で見るのが便利だからといって「読書」を放棄してしまっては、「想像力」を失うことに繋がるかもしれません。
「想像力」は「創造力」。
人間にとって最も大切なもののひとつであるはずです。
そして「小説」とは、読者が想像するために、作者が創造するという、読者と作者の共同作業の産物なのです。
このような一周回った現状だからこそ、もう一度「本を読む」ことの価値を再考すべきときではないかと、私は思うのです。
『遺産配分』とはこんな作品
『遺産配分』は、殺害された資産家の、30億円の遺産の配分を巡る、読者挑戦型の本格推理小説です。
推理小説は「エンタメの読み物」でありますが、私は作家でもありマジシャンでもあるので、エンタメもトリックも、普通の作家よりも本職であると、その点は自信を持っております。
ただ、内容を自画自賛で説明するのは憚られますし、ネタバレになってもいけませんので、これ以上はご容赦ください。私に限らないと思いますが、作家が自分の小説を説明するのは、難しいのです。
ですので、説明ではなく、現物の作品を紹介させていただきます。
このプロジェクトを立ち上げるまでの流れ
この『遺産配分』は、私が最初に書いた長編推理小説です。2014年に書き上げました。
翌2015年に『十字架は誰の手に』を書き上げましたが、結果的には、こちらのほうがデビュー作として先に世に出ました。2作目『遺産配分』と同じく、電子書籍版、受注製本版を販売中です。
横溝正史賞に応募して選考漏れした『十字架は誰の手に』のデビューのさせ方は、ずいぶん考えました。複数の出版社に相談し、書店流通の自費出版をしようともしました。
幻冬舎とのお付き合いも、2015年のそのときからです。
しかし、いずれの出版社とも、金額的な折り合いがつかず、書店流通の自費出版は実現しませんでした。
その後、かなり様々な出版の方法を探り、翌2016年に、Amazon Kindleにて電子書籍版、製本直送.comにて受注製本版の販売を開始することになります。
さらに翌年の2017年、最初に書き上げた『遺産配分』をリライトし、2作目の推理小説として、同様に電子出版、受注製本販売を開始しました。
しかし、もし可能であれば、書店流通をさせたいという想いはずっとありました。
本当に、そのとき自費出版をするだけの資金がなかったのかと言われれば、実はそうではありません。
私は2019年に、資本金500万円のヒーローウッドエンタ-テイメント株式会社を設立しており、資金の使い道としてこちらの選択をしたというのが事実です。
ですから、本来、このようなプロジェクトを立ち上げることは、虫のいい話なのだと思います。
今回、私の著書を書店流通させて全国にお届けするということは、確かに社会貢献であると信じておりますが、自分のやりたい