期間の減少
以前は、住宅の環境、リハビリの進行具合などによっては年単位で入院でき、その間に入院仲間同士でネットワーク、退院後の生活を送るための情報を仕入れるための十分な時間がありました。
しかし、現在の入院時間の短縮(最高180日)により、ネットワークを作る時間もなく、同じ障害の仲間から情報を聞けずに退院となり、どうやって生活していいのか?ほかの人はどのように工夫し生活しているのか?わからないまま退院生活が始まってしまいます。
本人も家族にとっても相談できる相手がおらず、「社会から切り離された」、「取り残された」と感じたとおっしゃる人も少なくありません。
◆ネットでのあふれる情報
ネットで検索をかければ大量の情報が出てきますが、それのどれが自分に当てはまるか。
脊髄損傷の状態は損傷部位や受傷の程度によって人それぞれ異なります。同じ受傷部位の人でも参考にならない場合もあります。YouTubeやネットで調べても個人や少数の意見、自分とは症状が異なる場合もあります。誤った情報を試して、逆に重症な怪我や合併症に繋がってしまう危険もあります。
約20年前、私が受傷した当時は今ほどバリアフリーも進んでおらず、障害者理解も発展途上で、退院後はもう一度歩きたいと思うリハビリはおろか、日々生活していく体力を維持するトレーニングすら簡単にできる環境にはありませんでした。
物理的な環境もさることながら、スマホもなく、インターネットも今ほど充実していない当時は情報を得るのも大変な時代でした。
当事者や家族のコミュニティが重要な情報源で、そのコミュニティで私は海外のリハビリ事情を知りました。
当時アメリカでは脊髄損傷者に特化した再歩行を目指すトレーニングジムが広がり始めていて、留学中だった親友を頼って渡米しました。そこで目にした光景は衝撃的で、まぎれもなく“ワークアウト”で、リハビリという言葉は全く当てはまりませんでした。理屈ではなく、これだけストイックに、ハードにトレーニングを続けることができれば、一生歩けないといわれている脊髄損傷者も歩けるかもしれないと頭ではなく心で感じることができました。
日本との違いを痛感した私は、こんな施設を日本にも作ると決意し、そのノウハウを日本に持ち込みました。
それがJ-Workoutです。
今では東京・大阪・福岡に構える3施設には全国そしてアジア圏からもトレーニングを求めて脊髄損傷の方が来てくださいます。
立ち上げから15年目を迎え、これまでに500名を超える脊髄損傷の方と一緒にトレーニングをしてきました。
ここにいる脊髄損傷の皆さんが、長期のトレーニング生活の中で、人生も次のステージへと進めています。
「あの人みたいにいつかなりたい!」
「あの人あんなことできるようになってる!」
「自分もできた!」
「もっとできるかも!」
「できた!」
同じ場所で一緒にトレーニングを続けることでこんな風に小さな成功体験を積み重ねることにつながり、いつしか自分があの人みたいになりたいと思われる存在になっています。
「再・発見」もこんな素敵なループが繰り返される場所にしたいです。
ご支援、ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。
脊髄損傷の方々と一生向き合う、Know No Limitを体現し続けるJ-Workoutの仲間たち