はじめに・自己紹介
プロジェクトオーナー 小西 恵一郎
(公益財団法人 国際医療技術財団 代表理事)
世界は、依然として新型コロナウイルス感染症、自然災害、環境、貧困、紛争、食料、麻薬などの問題から解放されておらず、今なお多くの人々が満足な医療サービスを受けることができません。
この状況を改善すべく、私たち公益財団法人 国際医療技術財団(JIMTEF)は、1987年に外務大臣、文部大臣及び厚生大臣から許可され、保健医療分野の課題の解決に必要不可欠な医療技術者の育成及び医療サービスの改善に取り組んでいる公益目的事業100%・収益事業ゼロの国際協力NGO・災害医療支援団体です。
プロジェクトオーナーの小西恵一郎は本財団設立準備段階から参加させて頂き、本年で35年目を迎えています。
臨床検査技術分野は順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部の三澤成毅技師長が中心となって一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会の協力を得て活動しています。
災害医療分野は国立病院機構 災害医療センターの林茂樹名誉院長が中心となってJIMTEF災害医療委員会(医療職種関連18団体で構成)の協力を得て活動しています。
解決したい社会課題
感染症は、経済の貧困、医療整備の遅れ、知識不足の状況がみられる開発途上国において非常に重要な問題です。
近年のグローバル化に伴い、新型コロナウイルスのようにいったん感染症が発生すると国境を越えて急速に世界中へ拡散することが懸念されています。
現代医療において臨床検査は不可欠であり、感染症の領域では病原体診断としての新型コロナウイルスなど微生物検査が必須です。
開発途上国では現在でも診断に必要な臨床検査を行える環境整備の不足から、適切な診断や治療を受けられない状況が多くみられています。
最善の治療には正しい診断が必要であり、正しい診断には正確な臨床検査結果が必要であり、そのためには適正な臨床検査技術が不可欠であるからです。
新型コロナウイルス感染症対策が世界的な課題となっている現在、微生物検査を中心とした臨床検査の技術協力は、非常に意義が高いと言えます。
開発途上国における臨床検査の水準と質が向上し、当該国民がより良質な医療を享受できることは、日本の水際対策上、我が国の感染防止策においても極めて重要な施策であります。
JIMTEF災害医療研修分科会討議
一方、この2月13日にも突如、震度6強の地震が東北地方を中心に襲いかかりました。
災害医療における被災地では、災害で増大した医療需要に対し平時の医療レベルを維持するための医療資源(医療従事者、医薬品、機器材など)の供給が不足します。
迅速な支援が必要となります。
国や自治体だけではなく公益団体や医療職種の職能団体及び医療ボランティアなど官民一体となったスピーディな支援が不可欠な状況です。
災害発生直後に助かりながらその後の避難生活で発病したり、持病の慢性疾患の重症化が主たる原因となる災害関連死が大きな問題となっています。
このような課題を解決するためには、多・他職種の医療専門家によるチーム医療が必要になります。
私たちはそのための災害医療人材育成に向けた研修コースを発災時の2011年から実施しています。
このプロジェクトで実現したいこと
オンライン研修教材を使っての講義(イメージ)JIMTEFオンライン研修教材を使っての講義風景
PCR検査をはじめ遺伝子検査法など最新の臨床検査技術を開発途上国へ伝える国際協力も、3.11を教訓にスタートした災害医療人材育成の研修も、この新型コロナウイルスが世界中へ蔓延している現況下で実行していかなければなりません。
もちろん人と人との接触は感染防止の観点から極力避けなければなりません。
このような中でこれらの事業を実現していくには、オンライン研修が実施可能なインターネット環境の整備や遠隔研修用教材の製作が必要不可欠であります。
この度の緊急非常事態に対処可能な次世代の教育研修プログラムをつくることを目的とした、今回のクラウドファンディングに是非ともご協力をお願い申し上げます。
JIMTEFオンライン研修風景
プロジェクトをやろうと思った理由
日本のJIMTEF専門家から指導を受ける開発途上国の海外研修生
特に感染症対策は開発途上国のみならず世界共通の課題となっており、2016年5月開催のG7伊勢志摩サミットにおいて主要議題として取り上げられました。
さらに昨今では、世界中へ蔓延している新型コロナウイルスによる伝染病の感染制御が地球規模の大問題になっています。
※世界の新型コロナウイルスの現状と日本の果たすべき役割については寄稿記事をご参照ください:
幻冬舎ゴールドオンライン「開発