静岡・富士川で再び尺アユを釣ってもらいたい〜芝川漁協アユ資源回復活動『アユ活』〜

静岡・富士川で再び尺アユを釣ってもらいたい〜芝川漁協アユ資源回復活動『アユ活』〜
富士川の静岡県流域の一部を管理する芝川観光漁協です。私たちは、かつては「尺アユ」が連れた富士川に、今はほとんど見られないアユと、そのアユを楽しむ釣り人の姿を取り戻すため、アユ資源回復活動『アユ活』に取り組みます。本プロジェクトでは、秋に産卵場の人工造成に取り組みます。

はじめに

皆様はじめまして。
静岡県の東部、富士山西麓の富士宮市を拠点に活動する芝川観光漁業協同組合(芝川漁協)、
その代表理事組合長を務める長谷川三男です。

芝川漁協の長谷川です(魚道調査の1コマから)

芝川漁協は富士川本流の一部と富士川支流の芝川、稲子川、稲瀬川、内房境川等に漁業権の免許を受け、組合員の皆とともにこれら漁場の管理を行っています。
芝川漁協管理の遊漁エリアについては下記サイトをご覧ください(「つりチケ」芝川漁協)。

「つりチケ」芝川漁協

芝川漁協には魚を捕ることを生業とする漁師はいません。流域に住み川や魚釣りを愛する仲間たちが、本業の傍らに漁場管理を行っています。私自身も農業を営みながら活動しています。

組合員の皆で様々な活動をしています(生息魚類調査から)
『アユ活』で実現したいこと・その背景

私たちは本プロジェクトで、アユ産卵場造成事業に要する資金を調達したいと考えています。
富士川にアユを呼び戻すため、漁協はアユ資源回復活動『アユ活』に取り組むことを決めました。その第1歩がアユ産卵場造成です。

富士川は、長野県、山梨県、静岡県と県を跨ぎ流れ下る大きな川です。その途中には大小様々な支流が注ぎこみ、豊かな水資源を私たちに与えてくれます。アユ釣りでも有名な川で、かつては「尺鮎」と呼ばれる巨大なアユが釣れると評判でした。しかし、近年は富士川本流でアユ釣りの長竿が揺れる様子を見ることは滅多にありません。

富士川に釣り人が少ない理由は、「全国的にアユ釣り人口が減っている」からだけでなく「富士川が濁る日が多く釣りに出られる日がほとんどないこと」や「富士川に棲むアユが減りつつあること」があると考えています。数年前には、アユの生態に詳しい専門家を招いて調査を行いましたが、富士川はアユにとっては棲みづらい状況にあることがわかりました。

私たちがアユ資源やアユ釣りの回復に向けて取り組むにあたり、漁協が川の濁りをすぐさま解消することは難しいですが、アユの資源量を増やすための努力、はできるものと考えます。

アユのイメージ写真 ※富士川のアユではありません

アユ資源を増やすためには、直接的な手法に、生きたアユを川へ放つ「稚魚・成魚放流」「親魚・発眼卵放流」などが挙げられます。ただ、これらの手法は多額の費用(魚の購入代金)を要するため、収入が少ない私たちでは簡単にできません。

現在の富士川下流域では、流れてきた砂や泥が川底に堆積したまま固くなってしまった場所が多く、アユが好んで卵を産む場所が大変少ない状態です。アユが卵を産める場所が増えれば、翌春に再び遡上する小アユが増えるのではないか。間接的ですが、アユ資源の回復に貢献できるだろうと考えて、人の手でアユが卵を産みやすい場所をつくる「産卵場造成」を新たに取り組むこととしました。

アユは川の下流域の流れが緩やかな瀬で、川底の砂利や石がフワフワして動きやすい水通しが良い場所へ卵を産みます。卵は川底の小石などにくっつき(付着卵)、産卵から約2週間でふ化します。産まれたばかりの赤ちゃんアユは川の流れとともに下流に流れて(流下)海に降り、春に再び川に上る(遡上)までの数か月を海で過ごします。

産卵場造成では、堆積物で固まってしまった川底を掘り起こして泥などを洗い流して、川底をフワフワにします。今回私たちは、小型ショベルカーで川底を耕うんし、その後は人力で整えます。
また、現場作業の当日は流域の方々へも参加を募り、川魚の専門家を招いたミニ講習会と現場作業の体験を行う見学体験会も併せて