part 1. ~ひとりごと~
ヘンゼルとグレーテルが別々の森で震えているような夜が続くある日のこと。
「そもそも論として。どうして田舎のカフェがそこまでガツガツ音楽業界に入り込んでいってるわけ?」
などと、
唐突に首都・東京で暮らす年の離れた友人に聞かれたから、
「それはさぁ・・」
って、
淀みなくリプしようと思ったのに、
「自分なりの答えのようなもの」
がまとまってないことに気付かされたので文字にしてみることにした。
音楽が好きだから。
生まれながらにして睡眠欲や食欲よりも「音欲」が強いから。
対岸の火事的にではなく、
当事者として音楽に関わりたいから。
サポーターとしてスタンドから声を枯らして声援を送ることも悪くはないけれど、
どうせならと、
グランドに降り立ってボールを蹴ってみたくなったから。
夢は未だに変わらず。
天体観測とか出来そうな人里離れた場所で、
神様の悪戯のような儚い流れ星をやり過ごしながら、
晴耕雨読的にトラックメイクしながら自給自足の生活をすること。
ともだちとの連絡はできれば赤いポストに手紙を入れて、
「最近のわたしはこんな曲を聴いてます・・そちらはどうですか?」
なんてスローなのが理想。
眠る前に毎日Spotifyのプレイリストを更新するほど音楽が好き。
歩きながらこのサンプリングの元ネタなんだろって気になって青信号なのに足を止めてしまうこともしばしば。
仲良くなると最初に、
「どんなアーティストの曲を聴いてんの?」ってたいてい聞くし。
喫茶店経営してるのに、
「美味しかったです!」
って言って頂くよりも、
「店内の音楽良かったです〜」
なんていうお言葉の方が全然嬉しいっていうレベル。
鳥で言うとキウイみたいな感じ。
飛べはしないけど鳥でいさせてくれっていう。
もちろん、
田舎のカフェの規模感の小さい協力なんてなくとも、
時代がやがて彼らの才能に気付く日がやってくるのは分かっている。
遅かれ早かれってやつ。
それでもお節介を焼きたくなったのには、
コロナ禍が彼らの生命線であり、
活動・表現の場であるライブを奪ったことにより、
「日の目を浴びるタイミング」
が未来に少々ずれ込んだことは明らかだから。
焦ったい(じれったい)に決まっている。
コロナ禍は依然明けず、
「この大波さえ越えればもう大丈夫だから!」
と、
メンタル的浮き輪のように国民に押し付けられていた「アフターコロナ」というフレーズは、
クリアな説明もないままいつの間にか「withコロナ」にすり替わり。
今後しばらくはいまの現状が大きくポジティブベクトルに変わることを望むにはあまりにどの根拠も頼りなく。
「カフェと語学とカルチャーと。」
というコンセプトに文字通り生かされてきた10 COFFEE BREWERSが、
ここで沈黙するのは存在価値を捨てるようなものだと自然と感じられたから。
こんなところがきっと、
田舎の喫茶店店主がCDを作りたくなってしまった理由。
ということで。
大分の名もなき小さな喫茶店が敬愛する5組のアーティストさんとCDアルバムを作ります。
ストリーミング時代に音楽体験はどう変わるのか?
音楽業界のニューノーマルって、
実はこんな「さざなみ」から始まったりするのかもしれませんよ。
part 2 〜説明書〜
文体と語尾などを変えて。
あと半分どうぞお付き合い下さい。
国内シーンの新世代にスポット当てるプロジェクト『dawn』が始動!
「カフェと語学とカルチャー