ご挨拶
はじめまして。神戸市内の大学に通いながら、今回「TIMESIBLE」プロジェクトを立ち上げました、鈴木遼平(すずきりょうへい)と申します。
TIMESIBLEは、現役の服飾専門学生をデザイナーに据え、ポップアップ形式でそれぞれの作品を展示・販売するプロジェクトです。
しかし、TIMESIBLEは単に専門学生の作品を売るのではありません。プロジェクトを何年にもわたって継続・発展させることで、ファッションの全く新しい楽しみ方である「デザイナーへの先行投資」を確立したいと思っています。
服に投資するプロジェクトなど成り立つのか、そもそもファッションにおける先行投資とは何なのか?
プロジェクトを始めた経緯や私自身の考えから、TIMESIBLEプロジェクトの説明をさせていただきます。
プロジェクトを始めた経緯
私が服に興味を持ったのは、中学生だった頃です。
当時はSNSの便利さなど知らず、雑誌を参考に手当たり次第ファッションを楽しんでいました。
高校生になり、インスタグラムなどのSNSを利用するようになると、デザイナーズブランドの魅力に引き込まれます。生地作りのこだわりや、デザイン1つ1つに想いを込めるブランドの表現を見て、のめり込んでいきました。
一方で、アパレル業界には大量廃棄や環境へ与える影響などさまざまな問題があることも知ることになります。シーズンが終わってしまうと途端にその価値が下がり、売れ残った服は消費者の手に渡ることなく廃棄される。そんなサイクルに疑問を感じていました。
私は、このようなファッションの持つ魅力と問題の両端を知った上で、
①デザイサーズブランドの持つ魅力
②シーズンを超えて、長く愛用される工夫
が両立された服があれば良いのにな、と考えるようになりました。
そんな中、高校の同級生である橋本菫(はしもとすみれ)が文化服装学院へ通うため上京します。
インスタグラムで彼女の作る服を初めて見て、そのクオリティの高さに驚きました。リアルクローズに寄っていながら、シルエットや細かなデザインには“らしさ”が見える作品を、同学年である彼女は作っていたのです。
この人がいずれデザイナーとして活躍するようになった将来、彼女は素晴らしいマスターピースを作るようになるのだろうか(私がいま現在憧れているメゾンブランドのような)。そうなったとしたら、彼女がいま現在作っている服は、私にとって永遠に価値のあるものになるのではないか?
そう思うと共に、その服は先述した2つの理想である
「デザイサーズブランドの持つ魅力」
「シーズンを超えて、長く愛用される工夫」
を両立させていることに気づきました。
そんな服をより多くの方に提供し、ファッションの全く新しい楽しみ方を提案しよう。
そう思い、TIMESIBLEというプロジェクトを立ち上げました。
「ファッションにおける先行投資」とは? ~マルタンマルジェラを例に~
ここまで、プロジェクトを始めた経緯をお話ししてきました。ここからは、「ファッションにおける先行投資」がどのように実現するのかについてお話していきます。
マルタンマルジェラという、伝説的なデザイナーがいます。彼自身はもう服のデザインをしていませんが、世界中のファッショニスタを虜にした彼のブランド「マルタンマルジェラ」は、「メゾンマルジェラ」と名前を変えて今なお絶大な人気を誇っています。
マルジェラのTABIシリーズ
同時に近年では、マルタン自身が20年近く前に発表した服が「アーカイブ」として人気を博